判旨
損害金月6分5厘(年78%相当)の約定は、そのことのみをもって直ちに公序良俗に反して無効であるとは認められない。
問題の所在(論点)
月6分5厘(年利換算で78%)という高率の損害金の約定が、民法90条の公序良俗に反し無効となるか。
規範
金銭債務の不履行に伴う損害賠償額の予定(違約金)の約定が民法90条の公序良俗に反するか否かは、単に利率の高さのみによって決すべきではなく、約定の経緯や債務者の意思決定の自由が不当に阻害されたか否か等の諸事情を総合的に考慮して判断される。
重要事実
債権者と債務者(上告人)との間で、金銭債務の不履行が生じた場合の損害金について「月6分5厘」とする約定がなされた。上告人は、当該利率が著しく高額であること、および当該約定が自らの意思を抑圧してなされたものであることを理由に、公序良俗違反による無効を主張して争った。
あてはめ
本件における月6分5厘という損害金の約定について、判決文によれば、その利率の高さのみをもって直ちに公序良俗に反するものとは認められない。また、上告人が主張する「意思を抑圧してなされた」との事実点については、原審で適切に主張・判断がなされていない事項であり、約定の有効性を覆すに足りる事情とは認められない。したがって、私的自治の原則に基づき、本件約定は有効であると解される。
結論
損害金月6分5厘の約定は公序良俗に反せず有効である。上告を棄却する。
実務上の射程
利息制限法や消費者契約法などの特別法が適用されない場面(本判決当時の状況等)において、公序良俗違反のハードルが極めて高いことを示す事例である。もっとも、現代の司法試験答案においては、利息制限法4条(賠償額の予定の制限)や公序良俗違反の判断要素(暴利行為の該当性)を論じる際の比較対象として位置づけられる。実務上は、本判決後の法令改正により、現在では多くのケースで法律上の上限規制を受ける点に留意が必要である。
事件番号: 昭和37(オ)856 / 裁判年月日: 昭和38年7月11日 / 結論: 棄却
旧利息制限法のもとでは、利息、損害金として任意に支払われた金額が、同法所定の利息損害金の率を超えていても、超過分を元本の支払に充当すべきではない。