旧利息制限法のもとでは、利息、損害金として任意に支払われた金額が、同法所定の利息損害金の率を超えていても、超過分を元本の支払に充当すべきではない。
旧利息制限法超過の利息支払と元本充当。
旧利息制限法
判旨
金銭消費貸借における月5分の利息約定は、直ちに公序良俗(民法90条)に反し無効とはいえず、また旧利息制限法下で支払われた制限超過利息について元本充当を認めなかった原審の判断を妥当とした。
問題の所在(論点)
1. 月5分(年60%)という高利の約定が民法90条(公序良俗)に反し無効となるか。2. 旧利息制限法の制限を超える利息の任意支払がある場合、その超過分は元本に充当されるか。
規範
金銭消費貸借契約における高利の約定が民法90条の公序良俗に反して無効となるかは、単に利率のみならず、契約の背景や諸事情を総合して判断される。また、旧利息制限法の適用下においては、任意に支払われた制限超過利息を当然に元本に充当すべきとは解されない。
重要事実
債権者(被上告人)は、昭和27年12月1日、債務者ら(上告人両名)に対し、弁済期を同月末日、利息を月5分とする約定で金20万円を貸し付けた。債務者らは、この約定が公序良俗に反し無効であること、および支払済みの制限超過利息が元本に充当されるべきであることを主張して争った。
あてはめ
1. 本件の月5分という利息約定について、その利率のみをもって直ちに公序良俗に反し無効であると断定することはできない。2. 旧利息制限法が適用される事案において、利息や損害金として任意に支払われた金額が、同法所定の制限利率を超えている場合であっても、その超過分を元本支払に充当すべきではないとした原審の判断は相当である。3. その他、本件消費貸借が信義則(民法1条)に反し無効となるような事実関係も認められない。
結論
本件消費貸借契約および利息約定は有効であり、制限超過利息の元本充当も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は現行利息制限法の制定(昭和29年)前の旧法下の判断である点に注意が必要である。現行法下では、利息制限法1条1項により制限超過部分は私法上無効であり、最高裁大法廷判決(昭39.6.24)以降、超過利息は当然に元本に充当される法理が確立しているため、本判決の元本充当に関する判断は現在では維持されていない。一方、公序良俗違反の判断枠組みについては、単なる利率の高さだけでなく諸事情を考慮する姿勢として参照される可能性がある。
事件番号: 昭和28(オ)1230 / 裁判年月日: 昭和30年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】損害金月6分5厘(年78%相当)の約定は、そのことのみをもって直ちに公序良俗に反して無効であるとは認められない。 第1 事案の概要:債権者と債務者(上告人)との間で、金銭債務の不履行が生じた場合の損害金について「月6分5厘」とする約定がなされた。上告人は、当該利率が著しく高額であること、および当該…