旧利息制限法施行のもとで任意に支払われた制限超過の利息ならびに損害金は元本債権が存在するかぎり当然に元本債権に充当されるか。
判旨
利息制限法所定の制限を超える利息・損害金が任意に支払われた場合であっても、元本債権が存在する限り当然に元本に充当されると解すべき根拠はない。
問題の所在(論点)
利息制限法の制限を超える利息・損害金が任意に支払われた場合、公序良俗等に反して無効となる超過部分は、当然に元本に充当されるか。
規範
利息制限法の制限を超える利息または損害金の支払が任意になされた場合、その超過部分は、特段の合意がない限り、当然に元本に充当されるものではない。
重要事実
上告人は、昭和24年3月末日に被上告人に対し22,500円を支払った。上告人は、この支払が利息制限法(旧法)の制限を超える利息および損害金であるとし、元本債権が存在する以上、当該超過額は当然に元本に充当されるべきであると主張して、その残元金および遅延損害金の額を争った。
あてはめ
上告人は、制限超過の利息等が当然に元本に充当されるという独自の充当方法を前提に、残元金およびその後の遅延損害金の計算を行っている。しかし、制限超過利息の任意支払について、元本が存在するからといって当然に元本への充当を認めるべき法的根拠は見出しがたい。したがって、上告人が主張する充当計算は採用できない。
結論
制限超過利息等の支払があったとしても、当然に元本に充当されるわけではないため、上告人の請求(充当を前提とする計算)は認められない。
実務上の射程
本判決は昭和37年当時のものであり、その後の最大判昭和39年11月18日(民集18巻9号1868頁)によって「当然充当説」へと判例変更がなされている点に注意が必要である。現在の司法試験実務(利息制限法1条2項参照)においては、本判決の法理ではなく、超過部分は元本に充当されるとする昭和39年判決の枠組みを用いるべきである。
事件番号: 昭和36(オ)1089 / 裁判年月日: 昭和40年2月18日 / 結論: 破棄差戻
債務者が、利息制限法第一条の制限をこえる利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は民法第四九一条により残存元本に充当されるものと解するのを相当とする。