債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を任意に支払つたとき、右制限をこえる金員は、当然残存元本に充当されるものと解すべきでない。
制規超過利息の任意支払と元本充当。
利息制限法1条,利息制限法4条
判旨
金銭消費貸借において、債務者が利息制限法の制限を超える利息や損害金を任意に支払った場合、その超過部分は当然に残存元本に充当されるものではない。
問題の所在(論点)
利息制限法の制限を超える利息・損害金が任意に支払われた場合、当該超過部分は当然に残存元本に充当されるか。また、充当されない場合の残債務および遅延損害金の算定はどうあるべきか。
規範
金銭消費貸借上の利息または損害金として支払われた金員が、利息制限法所定の制限を超えている場合であっても、債務者がこれを任意に支払ったときは、その超過部分が当然に残存元本に充当されると解すべきではない。
重要事実
上告人(債務者)は、被上告人(債権者)との間の金銭消費貸借契約に基づき、利息制限法の制限を超える利息および損害金を任意に支払った。その後、残元金の有無およびその額、ならびに約定損害金の有効性が争われた事案である。
あてはめ
最高裁昭和37年6月13日大法廷判決の法理に従えば、制限超過の任意支払分は当然には元本に充当されない。本件においても、支払われた超過利息等を元本に充当せず、残元金を18万5000円と認定した原判決は正当である。また、これに対する遅延損害金についても、約定損害金の率を利息制限法所定の制限(本件では年3割6分)に引き直して算定すべきである。
結論
制限超過利息の任意支払による当然の元本充当は認められない。上告人は、残元金18万5000円およびこれに対する制限内(年3割6分)の遅延損害金を支払う義務を負う。
実務上の射程
本判決は、利息制限法に基づく引き直し計算(過払金返還請求の前提となる当然充当)を認める前の法理を示すものである。後に昭和39年判決によって「当然充当」の法理が確立されたため、現在の実務・司法試験の文脈では、本判決の結論(充当否定)ではなく、その後の判例変遷を踏まえた「当然充当肯定」の立場をとるべきであることに注意を要する。
事件番号: 昭和36(オ)1133 / 裁判年月日: 昭和38年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】利息制限法所定の制限を超える利息・損害金が任意に支払われた場合であっても、元本債権が存在する限り当然に元本に充当されると解すべき根拠はない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和24年3月末日に被上告人に対し22,500円を支払った。上告人は、この支払が利息制限法(旧法)の制限を超える利息および損害金…