債権者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法第四九一条により、残存元本に充当されるものと解すべきである。
債務者が任意に従つた利息制限法所定の制限をこえる損害金は当然に残存元本に充当されるか
利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
判旨
金銭消費貸借契約に基づき利息制限法所定の制限を超える損害金が支払われた場合、その超過部分は当然に元本に充当される。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限を超える損害金の支払がなされた場合、その超過部分は当然に元本に充当されるか。利息制限法1条2項(現1条)、4条2項(現4条)および民法491条の解釈が問題となる。
規範
利息制限法所定の制限(同法1条1項、4条1項)を超える利息または損害金が支払われた場合、その制限超過部分は、特段の合意がない限り、民法491条にかかわらず、当然に元本債務の支払に充当されるものと解する。
重要事実
債権者(被上告人)は、債務者(上告人)に対し、昭和33年に40万円を弁済期同年5月末日、損害金月4分の約定で貸与した。上告人は昭和34年から35年にかけて合計17万8000円を支払った。原審は、この支払額が利息制限法上の制限(年3割6分)を超える損害金の弁済に充当されたと認定した上で、元本全額および約定損害金の残債務が存在すると判断したため、上告人が上告した。
あてはめ
本件における損害金の約定利率(月4分、年4割8分)は、利息制限法4条が規定する制限利率(年3割6分)を明らかに超えている。上告人が支払った17万8000円のうち、制限利率によって計算された損害金額を超える部分は、法的には損害金の弁済としての効力を有しない。大法廷判決の趣旨に照らせば、この超過部分は不当利得として返還請求を認めるまでもなく、残存する元本債務の支払に当然に充当されるべきである。したがって、原審が超過部分を無視して元本全額の残存を認めた点は、利息制限法および弁済充当に関する法理の適用を誤っている。
結論
利息制限法の制限を超える損害金の支払があった場合、その超過分は元本に充当されるため、原判決を破棄し、残存債務額を確定させるため審理を差し戻す。
実務上の射程
利息制限法超過支払の元本充当論(みなし充当)を確立した重要判例である。司法試験においては、利息制限法超過利息の効力が問題となる場面で必ず引用すべき規範であり、過払金返還請求の論理的前提としても機能する。
事件番号: 昭和36(オ)1089 / 裁判年月日: 昭和40年2月18日 / 結論: 破棄差戻
債務者が、利息制限法第一条の制限をこえる利息、損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は民法第四九一条により残存元本に充当されるものと解するのを相当とする。