一 準消費貸借契約にも利息制限法の適用がある。 二 制限を超過して任意に支払われた利息部分は、先ず弁済期までの全制限利息に充当さるべく、残余ある場合初めて元本に充当される。
一 準消費貸借契約と利息制限法 二 制限超過部分の充当の順序。
民法588条,民法489条,利息制限法1条1項
判旨
利息制限法所定の制限を超える利息・損害金が支払われた場合、その超過部分は民法491条により法定制限内の利息、次いで元本に当然に充当される。
問題の所在(論点)
利息制限法の制限を超える利息の支払がなされた場合、その超過部分は当然に残存元本に充当されるか。民法491条(現489条・491条)の適用および充当の是非が問題となる。
規範
債務者が利息制限法所定の制限を超える利息または損害金を任意に支払ったときは、その制限を超える部分は、特段の合意がない限り、民法491条の規定に従い、順次に費用、制限内の利息および元本に充当されるものと解する。
重要事実
債務者Dは、被上告人に対し、元本100万円、利息月1分7厘とする準消費貸借契約を締結し、上告人らがこれを連帯保証した。上告人らは利息として2万円を支払ったが、約定利率(月1分7厘)は利息制限法1条1項の制限(年1割5分)を超過していた。原審は、超過支払分は元本に充当されず債権者の利得になると判断したが、これを不服として上告がなされた。
あてはめ
本件では元本100万円に対し利息制限法所定の年1割5分の利率が適用されるべきところ、約定利率はその制限を超えている。支払われた2万円を同法制限内の利息に充当すると、昭和36年10月1日から同年11月18日までの利息は完済され、なお102円72銭の剰余が生じる。この剰余分は当然に元本に充当されるべきであるため、上告人らの債務は当該剰余分を差し引いた元本およびその後の制限内利息・遅延損害金に限定される。
結論
制限超過利息の支払は元本に充当される。よって、支払済みの2万円を制限内利息および元本に充当した残債務の支払を命ずる限度で、上告人らの主張を認め原判決を変更する。
実務上の射程
利息制限法と元本充当に関する確立した判例法理。過払金返還請求の基礎となる論理であり、答案上は制限超過利息の法的性質を問われた際に、民法491条(充当の順序)を根拠として「当然充当」を導くために用いる。
事件番号: 昭和39(オ)1118 / 裁判年月日: 昭和40年10月5日 / 結論: 破棄差戻
債権者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の損害金を任意に支払つたときは、右制限をこえる部分は、民法第四九一条により、残存元本に充当されるものと解すべきである。