判旨
株主総会決議に参加した特定の株主の株式取得原因が公序良俗に反し無効であるとしても、それは決議方法の違法に留まり、決議内容の違法には該当しない。
問題の所在(論点)
特定の株主の議決権取得原因が公序良俗に反し無効である場合、その株主の参加した株主総会決議は「決議の内容が法令に違反するとき」に該当するか。
規範
株主総会決議における「決議の内容」の違法とは、決議によって確定された事項そのものが法令または定款に違反することを指す。特定の株主の議決権取得原因の瑕疵は、決議に至る「手続(方法)」の適法性に関わる問題であって、決議事項そのものの適否を問う「内容」の適法性の問題には含まれない。
重要事実
上告人らは、本件株主総会の決議形成過程において、特定の株主が株式を取得した原因が犯罪に関連し、民法90条(公序良俗)に反して無効であると主張した。その上で、当該株主が議決権を行使してなされた本件決議は、旧商法252条(現行会社法833条または830条2項等に関連)にいう「決議の内容」が法令に違反するものであると訴えた。
あてはめ
本件における上告人らの主張は、特定の株主の株主権取得原因や議決権取得原因の瑕疵を突くものである。しかし、これらは決議を成立させるための合議の過程(決議の方法)に瑕疵があることを主張するに過ぎない。決議された事項そのものが公序良俗や法令に反するという事態ではないため、決議内容そのものの違法を規定する条文の問題とはならないと解される。
結論
株主の議決権取得原因に瑕疵があっても、それは決議方法の違法に留まるため、決議内容の違法には当たらない。
実務上の射程
会社法830条2項(決議無効確認)と831条1項(決議取消し)の区別において、瑕疵が決議プロセスにあるのか決議事項そのものにあるのかを判定する際の基準となる。本判決の論理によれば、無権利者の議決権行使は決議方法の瑕疵であり、取消事由に該当するに留まる。
事件番号: 昭和39(オ)883 / 裁判年月日: 昭和47年11月8日 / 結論: その他
株式会社が株券の発行を不当に遅滞し、信義則に照らして、株式譲渡の効力を否定するのを相当としない状況に至つたときは、株券発行前であつても、株主は、意思表示のみにより、会社に対する関係においても有効に株式を譲渡することができる。
事件番号: 昭和24(オ)347 / 裁判年月日: 昭和25年6月13日 / 結論: 棄却
解任された取締役につきなされた辞任の登記は、取締役たる資格消滅という身分変動については、結局真実に合致しているから、登記としてその効力を有する。
事件番号: 昭和40(オ)1206 / 裁判年月日: 昭和43年11月1日 / 結論: 棄却
一、商法第一二条は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。 二、議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、有効である。
事件番号: 昭和38(オ)120 / 裁判年月日: 昭和39年12月11日 / 結論: 棄却
株式会社役員に対する退職慰労金支給に関する「金額、支給期日、支払方法を取締役会に一任する」との株主総会決議をした場合でも、右決議は、当該会社において慣例となつている一定の支給基準によつて支給すべき趣旨であるときは、商法第二六九条の趣旨に反して無効であるということはできない。