一、商法第一二条は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。 二、議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、有効である。
一、株式会社の訴訟上の代表者と商法第一二条の適用の有無 二、議決権行使の代理人の資格を株主に制限する旨の定款の規定の効力
商法12条,商法239条3項,民訴法58条,民訴法45条
判旨
株主総会の代理出席を株主に限定する定款規定は、総会攪乱の防止という合理的理由に基づく相当な制限として、会社法310条1項(旧商法239条3項)に反せず有効である。
問題の所在(論点)
株主総会における代理人の資格を株主に限定する定款の規定は、株主の代理権行使を認めた会社法310条1項(旧商法239条3項)に違反し無効となるか。
規範
株主による代理権の行使(会社法310条1項)について、定款により代理人の資格を制限することは、合理的な理由がある場合に相当と認められる程度の制限を加えるものであれば、同項に違反せず有効である。
重要事実
上告会社(被告)の定款には、株主総会における議決権行使の代理人を株主に限る旨の規定が存在した。被上告人(原告)は、当該制限が代理権行使を認める旧商法239条3項に違反し無効であると主張し、株主以外の代理人の出席を拒んだ上での決議の取消し等を求めて争った。なお、付随的論点として、清算人の選任登記がない場合でも訴訟上の代表権が認められるかが争点となった。
事件番号: 昭和28(オ)1123 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】株主総会決議に参加した特定の株主の株式取得原因が公序良俗に反し無効であるとしても、それは決議方法の違法に留まり、決議内容の違法には該当しない。 第1 事案の概要:上告人らは、本件株主総会の決議形成過程において、特定の株主が株式を取得した原因が犯罪に関連し、民法90条(公序良俗)に反して無効であると…
あてはめ
本件定款規定の趣旨は、株主総会が株主以外の第三者によって攪乱されることを防止し、会社の利益を保護することにある。このような目的は合理的であり、代理人の資格を株主に限定することは、株主総会の円滑な進行を確保するための「合理的理由による相当程度の制限」といえる。したがって、法律が認める株主の代理権行使を不当に制限するものとはいえない。
結論
代理人を株主に限定する定款の規定は有効である。また、訴訟代表権に関しては、実体法上の取引関係ではないため登記を対抗要件とする必要はなく、選任決議が有効である限り、登記の有無にかかわらず代表権を有する。
実務上の射程
代理人資格制限の有効性を認めるリーディングケースである。ただし、実務上は、株主が法人である場合の職員による代理出席(機関の補充)や、事実上の付添人など、特段の事情がある場合にまで画一的に制限できるかは慎重な検討を要する。答案では「攪乱防止」という趣旨からあてはめることが重要である。
事件番号: 昭和24(オ)347 / 裁判年月日: 昭和25年6月13日 / 結論: 棄却
解任された取締役につきなされた辞任の登記は、取締役たる資格消滅という身分変動については、結局真実に合致しているから、登記としてその効力を有する。
事件番号: 昭和36(オ)1376 / 裁判年月日: 昭和38年8月8日 / 結論: 棄却
同族会社における株主総会の招集手続について、有限会社法第三八条等の特別規定はないから、商法第二三二条の手続によらねばならない。
事件番号: 昭和40(オ)821 / 裁判年月日: 昭和42年7月25日 / 結論: 棄却
一 株主総会の決議は、定款に別段の定めがないかぎり、その議案に対する賛成の議決権数が決議に必要な数に達したことが明白になつた時に成立するものと解すべきであつてかならずしも挙手、起立、投票などの採決の手続をとることを要しない。 二 営業の譲渡に関する株主総会の決議について、譲渡会社の株主が譲受会社の代表取締役であつても、…
事件番号: 昭和35(オ)454 / 裁判年月日: 昭和36年12月21日 / 結論: 棄却
一 株主総会において株主が二派に分かれ、同一議案について二個の決議をなし、その一個がかしのある決議である場合、かしのない決議が後に成立したものであつても、これを適法のものとすることは差支ない。 二 株式の譲受人の氏名が株主名簿に記載されなくても、会社はこれを株主として取り扱うことを妨げない。