同族会社における株主総会の招集手続について、有限会社法第三八条等の特別規定はないから、商法第二三二条の手続によらねばならない。
いわゆる同族会社における株主総会の招集手続は口頭の通知をもつてすることが許されるか。
商法232条
判旨
小数の近親者や縁故者のみで構成される閉鎖的な株式会社であっても、株主総会の招集には商法232条(現行会社法299条)所定の手続を遵守しなければならない。
問題の所在(論点)
少数の近親者や縁故者のみで構成される閉鎖的な会社において、法定の株主総会招集手続を省略することが許されるか(商法232条、現行会社法299条の適用の有無)。
規範
株式会社の株主総会を招集するにあたっては、その構成員が少数の近親者や縁故者であるか否かにかかわらず、法定の招集手続を履践しなければならない。
重要事実
上告人は、当該株式会社が少数の近親者および縁故者によって構成されていることを理由に、法定の招集手続(商法232条、現行会社法299条)を省略できる旨を主張し、株主総会決議の効力を争った。
あてはめ
事件番号: 昭和40(オ)1206 / 裁判年月日: 昭和43年11月1日 / 結論: 棄却
一、商法第一二条は、当事者である株式会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたつては、適用されない。 二、議決権を行使する株主の代理人の資格を当該会社の株主に制限する旨の定款の規定は、有効である。
商法(現行会社法)には、有限会社法(旧法)のような招集手続の簡略化に関する特別の規定が存在しない。したがって、会社の人的関係の密度や規模の大小といった個別具体的な事情を考慮して、法定の手続を排除することは認められない。
結論
閉鎖的な会社であっても招集手続を省略することはできず、法定の手続を欠いた招集に基づく決議は、特段の事情(全員出席総会等)がない限り、手続上の瑕疵を免れない。
実務上の射程
会社法299条の招集手続が強制規定であることを確認した判例である。ただし、実務上および本判決後の判例理論では、株主全員が同意し、または出席して異議なく決議が行われた「全員出席総会」の場合には、招集手続の欠缺は決議の効力に影響しないと解されている。本判決は、単に「家族経営だから」という理由のみで当然に手続を免除されるわけではないことを示すにとどまる。
事件番号: 昭和44(オ)276 / 裁判年月日: 昭和45年8月20日 / 結論: 破棄自判
取締役会の決議を経ることなく、代表取締役以外の取締役によつて招集された株主総会は法律上の意義における株主総会とはいえず、そこで決議がなされたとしても、株主総会の決議があつたものと解することはできない。
事件番号: 昭和31(オ)396 / 裁判年月日: 昭和33年10月3日 / 結論: 棄却
株主九名、株式総数五、〇〇〇株の株式会社において、株主の一名である代表取締役が、単に、自己の実子である二名の株主に口頭で株主総会招集の通知をしただけで、他の六名の株主(その持株二、一〇〇株)には招集の通知を全然なさず、右親子三名だけが株式総会としての決議をしても、これにより株主総会が成立しその決議があつたものということ…
事件番号: 昭和35(オ)296 / 裁判年月日: 昭和38年8月8日 / 結論: 棄却
株主総会の決議がその成立要件を欠いた場合でも、その決議の内容が商業登記簿に登記されているときは、その効力のないことの確定を求める訴は適法である。
事件番号: 昭和43(オ)826 / 裁判年月日: 昭和46年6月24日 / 結論: 棄却
いわゆる一人会社においては、その一人の株主が出席すれば、招集の手続がなくても、株主総会は成立する。