株主総会の決議がその成立要件を欠いた場合でも、その決議の内容が商業登記簿に登記されているときは、その効力のないことの確定を求める訴は適法である。
株主総会決議の不存在とその無効確認の訴の適否。
商法252条
判旨
株主総会決議が不存在である場合に、その決議が登記されるなどして外見上拘束力を有するかのように見えるときは、決議の不存在確認の訴えを提起することができる。この訴えは、決議無効確認の訴えに関する規定を類推適用し、対世的効力を有する適法な訴えとして認められる。
問題の所在(論点)
株主総会決議が実際には行われていない「不存在」の場合に、その無効(不存在)の確定を求める訴えが認められるか。また、それが単なる過去の事実関係の存否を求める不適法な訴えにあたらないか、現行会社法830条1項の解釈が問題となる。
規範
株主総会決議が成立要件を欠き不存在と評価される場合であっても、その決議内容が商業登記簿に記載されるなどして外見上の拘束力を有するかのように取扱われているときは、その効力がないことの画一的確定を計る必要性がある。したがって、旧商法252条(現行会社法830条1項)の規定に照らし、決議不存在確認の訴えは適法であり、その判決には対世的効力が認められる。
重要事実
上告会社において、昭和28年に2回の株主総会決議が実際には行われなかったにもかかわらず、その旨が商業登記簿に記載された。会社や関係者間において、これらの決議が適法に拘束力を有するかのように取り扱われる恐れが生じたため、被上告人(原告)らが当該決議の不存在確認を求めて提訴した。
事件番号: 昭和44(オ)276 / 裁判年月日: 昭和45年8月20日 / 結論: 破棄自判
取締役会の決議を経ることなく、代表取締役以外の取締役によつて招集された株主総会は法律上の意義における株主総会とはいえず、そこで決議がなされたとしても、株主総会の決議があつたものと解することはできない。
あてはめ
本件では、実際には行われていない決議が登記されており、会社及び関係者間において画一的にその拘束力を否定する必要性が高い。これは単なる過去の事実の確認ではなく、外見上の効力を否定する法的確認であるといえる。決議無効確認の訴えについて定める規定は、不存在の場合であってもその必要性が同様に認められることから、これを除外する趣旨ではないと解される。
結論
本件訴えは、決議の不存在という事実そのものではなく、登記によって生じた外見上の拘束力を否定し、対世的に無効を確定させるための適法な訴えである。したがって、請求を認容した原審の判断は正当である。
実務上の射程
会社法830条1項の「株主総会等の決議の不存在の確認の訴え」の認容根拠となるリーディングケース。答案上では、決議の不存在を争う場合に「法的確認の利益」と「対世的効力(838条)」を導く根拠として活用する。また、不存在と無効の区別が曖昧な事案においても、本判例の趣旨に基づき画一的確定の必要性から訴えの適法性を肯定できる。
事件番号: 昭和30(オ)426 / 裁判年月日: 昭和33年10月24日 / 結論: 棄却
株券発行前になされた記名株式の譲渡は、会社成立後通常株券を発行し得る合理的期間の経過後になされ、会社においてその譲渡を承認した場合であつても、会社に対しその効力を生じない。
事件番号: 昭和42(オ)867 / 裁判年月日: 昭和45年1月22日 / 結論: その他
一、第一審判決を取り消し、事件を第一審に差し戻す旨の控訴審判決があつた場合においては、控訴人は、取消の理由となつた右判決の判断の違法をいうときにかぎり、右判決に対して上告の利益を有する。 二、定款により株主総会における議決権行使の代理資格を株主に制限している株式会社において、株主名簿上の株主でない甲に乙名義株式の議決権…
事件番号: 昭和35(オ)454 / 裁判年月日: 昭和36年12月21日 / 結論: 棄却
一 株主総会において株主が二派に分かれ、同一議案について二個の決議をなし、その一個がかしのある決議である場合、かしのない決議が後に成立したものであつても、これを適法のものとすることは差支ない。 二 株式の譲受人の氏名が株主名簿に記載されなくても、会社はこれを株主として取り扱うことを妨げない。
事件番号: 昭和36(オ)1376 / 裁判年月日: 昭和38年8月8日 / 結論: 棄却
同族会社における株主総会の招集手続について、有限会社法第三八条等の特別規定はないから、商法第二三二条の手続によらねばならない。