一、第一審判決を取り消し、事件を第一審に差し戻す旨の控訴審判決があつた場合においては、控訴人は、取消の理由となつた右判決の判断の違法をいうときにかぎり、右判決に対して上告の利益を有する。 二、定款により株主総会における議決権行使の代理資格を株主に制限している株式会社において、株主名簿上の株主でない甲に乙名義株式の議決権行使を許容した仮処分がされても、右仮処分は、甲に乙以外の株主の議決権を代理行使する資格を与えるものではない。 三、独立当事者参加の申出は、参加人が当該訴訟において裁判を受けるべき請求を提出しなければならず、単に当事者一方の請求に対して訴却下または請求棄却の判決を求めるのみの参加の申出は許されない。
一、取消差戻の控訴審判決を得た控訴人と上告の利益の有無 二、議決権行使の代理資格を株主に制限した定款の定めと議決権行使許容の仮処分の効力 三、当事者一方の請求に対して訴却下または請求棄却の判決を求めるのみの独立当事者参加の申出の適否
民訴法71条,民訴法393条,民訴法760条,裁判所法4条,商法239条
判旨
独立当事者参加には、原被告双方を相手方とし、かつ自己の権利を主張する請求が不可欠であり、単に訴却下や請求棄却を求めるのみの参加は不適法である。また、株主権行使を認める仮処分の効力は、決定で明示された範囲に限られ、当然に他株主の議決権を代理行使する資格まで与えるものではない。
問題の所在(論点)
1.独立当事者参加において、参加人が特定の請求をせず、単に相手方の敗訴を求めるのみの申立ては適法か。 2.株主権行使を許容する仮処分の効力は、決定に明示されていない「他株主の議決権の代理行使資格」にまで及ぶか。 3.準共有株式の権利行使者通知を欠いたままなされた決議の有効性。
規範
1.民訴法47条(旧71条)の独立当事者参加は、原被告双方を相手方とし、かつ参加人が当該訴訟において裁判を受けるべき請求(訴えの実質)を提出しなければならない。単に当事者の一方の請求に対する訴却下・請求棄却を求めるのみの参加は、審理対象となる請求を欠き不適法である。 2.株主権行使等の仮処分の効力は、裁判所が経営権争奪に介入することを抑制する観点から、決定中に明示された範囲に限定される。 3.株式の準共有者は、会社に対し権利行使者1名を定めて通知しなければ、株主権を行使できない(会社法106条、旧商法203条2項)。
事件番号: 昭和44(オ)276 / 裁判年月日: 昭和45年8月20日 / 結論: 破棄自判
取締役会の決議を経ることなく、代表取締役以外の取締役によつて招集された株主総会は法律上の意義における株主総会とはいえず、そこで決議がなされたとしても、株主総会の決議があつたものと解することはできない。
重要事実
上告人と被上告会社間の訴訟に対し、第三者B1が独立当事者参加を申し立てた。しかしB1は、上告人の請求棄却等を求めたのみで、原被告に対し独自の請求をしていなかった。またB1は、仮処分決定に基づき特定株式(1500株)の権利行使を認められていたが、定款で代理資格が株主に制限されている状況下で、他の株主Fの議決権をも代理行使し、監査役選任決議を成立させた。さらに、亡G名義の株式(2000株)についても権利行使者の指定通知がなされたか不明なまま議決に加算されていた。
あてはめ
1.B1の参加申立ては、上告人の請求棄却等を求めるのみで、独自の請求を伴わない。これは訴えの提起としての実質を欠き、当事者との間に審理対象となる請求が存在しないため、不適法である。ただし、判決の効力が及ぶ第三者の場合は、共同訴訟的補助参加として適法になり得る。 2.本件仮処分はB1に対し特定の1500株の権利行使を許したに過ぎない。代理資格を株主に限定する定款がある以上、決定に明示のない他人の議決権の代理行使資格を当然に付与するものではない。よって、B1によるFの代理行使は無効である。 3.亡G名義の株式について権利行使者の指定通知がない場合、その議決権行使も認められない。これらを合算すると決議が不成立となる可能性があるため、原審の判断には審理不尽がある。
結論
B1の独立当事者参加は不適法として却下する。また、仮処分の効力は代理行使資格に及ばず、準共有株式の権利行使者通知の有無を検討せずに決議を有効とした原判決を破棄し、差戻しを命じる。
実務上の射程
独立当事者参加の要件としての「請求の存在」を厳格に解する実務を確立した。また、地位を定める仮処分の効力範囲を限定的に解釈する指針を示すとともに、準共有株式の権利行使者通知(会社法106条)の不備が決議の効力に直結することを示唆しており、会社訴訟における事実認定の重要性を説く事案として重要である。
事件番号: 平成1(オ)573 / 裁判年月日: 平成2年12月4日 / 結論: 棄却
一 株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」の指定及びその旨の会社に対する通知を欠く場合には、特段の事情がない限り、株主総会決議不存在確認の訴えにつき原告適格を有しない。 二 株式を準共有する共同相続人間において商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」…
事件番号: 昭和43(オ)826 / 裁判年月日: 昭和46年6月24日 / 結論: 棄却
いわゆる一人会社においては、その一人の株主が出席すれば、招集の手続がなくても、株主総会は成立する。
事件番号: 昭和42(オ)1319 / 裁判年月日: 昭和43年4月12日 / 結論: 棄却
取締役・監査役の選任決議を内容とする株主総会決議の不存在確認の訴は、右取締役・監査役が退任した後においては、現在の法律関係ではなく即時確定の利益を欠くものである。
事件番号: 平成15(受)1259 / 裁判年月日: 平成16年7月8日 / 結論: 破棄差戻
株式会社の代表取締役甲らが容易に現金化が可能な約10億円の純資産を有する当該会社の全株式を合計2億円で売却したことにつき,それが不自然ではないといえるような特段の事情が存在しない上,上記売却は,甲らの全面的な信頼を受けて甲らの資産管理を受託していた乙が甲らの財産の保全,増加に必要であるとして提案し,甲らがこれに全面的に…