取締役・監査役の選任決議を内容とする株主総会決議の不存在確認の訴は、右取締役・監査役が退任した後においては、現在の法律関係ではなく即時確定の利益を欠くものである。
株主総会決議不存在確認の訴において確認の利益がないとされた事例
民訴法第2編第1章,商法252条
判旨
他人の承諾を得てその名義を用い株式を合意の上で引き受けた場合、株主となるのは名義貸与者ではなく、実質上の引受人(名義借用者)である。
問題の所在(論点)
他人の承諾を得てその名義を冒用せずに使用し、株式の引受けがなされた場合において、誰が「株主」としての権利義務を享受・負担するか。具体的には、名義人と実質的引受人のいずれが株主かという「株主の確定」が問題となる。
規範
他人の承諾を得てその名義を用いて株式の引受けがなされた場合、当該株式の株主は、名義上の引受人(名義貸与者)ではなく、実質上の引受人(名義借用者)であると解する。
重要事実
本件では、ある者が他人の承諾を得た上で、その他人の名義(名義貸与者の氏名等)を使用して株式の引受けを行った。その後、当該株式の帰属(株主の地位)が誰にあるのか、名義貸与者なのか実質的な引受人(名義借用者)なのかが争点となり、上告審に至った。なお、具体的な会社名や出資金額等の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
本件において、株式引受けの事実は他人の承諾を得て行われたものである。このように名義人と借用者の間で名義使用の合意がある場合、引受けに伴う権利義務を実質的に帰属させる意図は借用者に認められる。判例の法理に照らせば、形式的な名義の如何にかかわらず、実質的に株式を引き受けた者が株主としての法的地位を取得すると解される。したがって、名義貸与者ではなく実質上の引受人を株主と認定するのが相当である。
結論
実質上の引受人が株主である。本件上告は棄却され、名義貸与者が株主であるとする主張は認められない。
実務上の射程
募集株式の発行等における株主確定の基準を示す。名義借りの場合(双方合意あり)は「実質説」を採るが、名義を勝手に冒用した場合(合意なし)は判例上「名義人説」が採られており、事案が「承諾(合意)」に基づくものか「冒用」によるものかを見極めて使い分ける必要がある。
事件番号: 昭和42(オ)867 / 裁判年月日: 昭和45年1月22日 / 結論: その他
一、第一審判決を取り消し、事件を第一審に差し戻す旨の控訴審判決があつた場合においては、控訴人は、取消の理由となつた右判決の判断の違法をいうときにかぎり、右判決に対して上告の利益を有する。 二、定款により株主総会における議決権行使の代理資格を株主に制限している株式会社において、株主名簿上の株主でない甲に乙名義株式の議決権…
事件番号: 昭和42(オ)1293 / 裁判年月日: 昭和43年10月17日 / 結論: 破棄差戻
株主総会決議無効確認の訴において、原告が自己の株主であることを立証するために同人名義の株券を書証として提出した場合であつても、その提出が二審においてはじめてされたものであるうえ、右株券には同人名義の白地式裏書があり、同人がこれを他に譲渡して一審当時はこれを所持していなかつたことを窺わせる判示の如き証拠があるときには、こ…
事件番号: 平成1(オ)573 / 裁判年月日: 平成2年12月4日 / 結論: 棄却
一 株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」の指定及びその旨の会社に対する通知を欠く場合には、特段の事情がない限り、株主総会決議不存在確認の訴えにつき原告適格を有しない。 二 株式を準共有する共同相続人間において商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」…
事件番号: 昭和35(オ)454 / 裁判年月日: 昭和36年12月21日 / 結論: 棄却
一 株主総会において株主が二派に分かれ、同一議案について二個の決議をなし、その一個がかしのある決議である場合、かしのない決議が後に成立したものであつても、これを適法のものとすることは差支ない。 二 株式の譲受人の氏名が株主名簿に記載されなくても、会社はこれを株主として取り扱うことを妨げない。