他人の承諾を得てその名義を用いて株式の引受がされた場合においては、名義貸与者ではなく、実質上の引受人が株主となるものと解すべきである。
他人の承諾のもとにその名義を用いて株式の引受がされた場合における株主
商法201条
判旨
他人の承諾を得てその名義を用い株式を引受けた場合、名義人(名義貸与者)ではなく、実質上の引受人(名義借用者)が株主となる。株式引受けは一般私法上の法律行為と同様、真に契約の当事者として申込みをした者が権利を取得し義務を負担すべきだからである。
問題の所在(論点)
他人の名義を借りて(名義人の承諾を得て)株式を引き受けた場合において、株主となるのは「名義人(名義貸与者)」か「実質上の引受人(名義借用者)」か。
規範
他人の承諾を得てその名義を用いて株式を引き受けた場合、株主となるのは名義貸与者ではなく、実質上の引受人(名義借用者)である。商法(現行会社法)の規定は、名義のいかんを問わず実質上の引受人が義務を負担するという当然の事理を定めたものにすぎず、株式の引受けについては一般私法上の法律行為と同様、真に契約の当事者として意思表示(申込み)をした者が権利義務の主体となるべきである。
重要事実
上告人は、本件新株の引受けに関し、他人の承諾を得てその者の名義を用いて株式を引き受けた。上告人は、自身が名義貸与者にすぎないにもかかわらず、自身が株主であることを前提として本訴を提起した(具体的な訴訟内容は判決文からは不明)。原審は、上告人を単なる名義貸与者にすぎず実質上の当事者ではないと認定し、請求を排斥したため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
本件において、上告人は新株引受けに際して名義を貸したにすぎず、株式を取得する意思を持って真に契約の当事者として申込みをしたのは名義借用者である。したがって、一般私法上の法律行為の原則に照らせば、権利義務の帰属主体は名義を借りて実質的に引き受けた者であり、単なる名義貸与者である上告人は、株主たる権利を取得したとは認められない。
結論
名義借用者が株主となり、名義貸与者は株主ではない。したがって、名義貸与者による株主としての請求を排斥した原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
募集株式の発行における株主の確定基準を示したリーディングケースである。判例は「実質説」を採り、名義借用者が株主となることを明示している。答案上は、社員権取得という法律行為の当事者が誰かを確定する問題として論じ、会社法(旧商法)の規定は「実質上の引受人が義務を負う」という当然の理を認めたものと構成する。
事件番号: 昭和42(オ)1319 / 裁判年月日: 昭和43年4月12日 / 結論: 棄却
取締役・監査役の選任決議を内容とする株主総会決議の不存在確認の訴は、右取締役・監査役が退任した後においては、現在の法律関係ではなく即時確定の利益を欠くものである。