単に株主総会の決議をなす動機に公序良俗違反の不法があるにとどま る場合は、右決議は無効でない。
株主総会決議の動機の公序良俗違反と決議の効力
判旨
株主総会決議の内容自体に法令または定款違反の瑕疵がない場合、決議をなすに至った動機や目的に公序良俗違反の不法があったとしても、そのことのみをもって決議を無効とすることはできない。
問題の所在(論点)
株主総会決議の内容自体には法令・定款違反がないものの、決議の動機・目的に公序良俗違反の不法が認められる場合に、会社法(旧商法)上の決議無効事由となるか。
規範
株主総会決議の効力は決議内容の客観的瑕疵に基づいて判断されるべきであり、決議をなすに至った主観的な動機や目的が不当あるいは公序良俗に反するものであっても、決議内容自体に瑕疵が認められない限り、当該決議は有効である。
重要事実
本件株主総会において決議された事項は、いずれもそれ自体としては法令または定款に違反するものではなかった。しかし、当該総会を開催した動機・目的が、一部の株主の権利・利益を侵害し、不当に特定の第三者の利益を図るためのものであり、公序良俗に反する不当なものであるとして、決議の無効が争われた。
あてはめ
本件における株主総会決議の内容自体には、法令または定款に違背する瑕疵は認められない。原審は、決議に至る動機・目的が一部株主の利益を侵害するもので公序良俗に反すると判断したが、決議内容そのものに公序良俗違反の不法が認められない以上、主観的な事情を理由に決議を無効と解することは法的に許容されない。
事件番号: 昭和28(オ)1123 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】株主総会決議に参加した特定の株主の株式取得原因が公序良俗に反し無効であるとしても、それは決議方法の違法に留まり、決議内容の違法には該当しない。 第1 事案の概要:上告人らは、本件株主総会の決議形成過程において、特定の株主が株式を取得した原因が犯罪に関連し、民法90条(公序良俗)に反して無効であると…
結論
本件決議は無効ではない。動機や目的の不当性は、決議内容自体の瑕疵とは区別されるべきであり、決議を当然に無効ならしめるものではない。
実務上の射程
本判決は、株主総会決議の無効事由の判断において、動機という主観的要素を排し、内容の客観性を重視する立場を明確にしている。もっとも、不当な目的でなされた決議が「特別の利害関係を有する株主による議決権行使」によって「著しく不当な決議」となった場合には、決議取消事由(会社法831条1項3号)として構成する余地があるため、本判決の射程は無効事由としての公序良俗違反の成否に限定して考えるべきである。
事件番号: 昭和35(オ)454 / 裁判年月日: 昭和36年12月21日 / 結論: 棄却
一 株主総会において株主が二派に分かれ、同一議案について二個の決議をなし、その一個がかしのある決議である場合、かしのない決議が後に成立したものであつても、これを適法のものとすることは差支ない。 二 株式の譲受人の氏名が株主名簿に記載されなくても、会社はこれを株主として取り扱うことを妨げない。
事件番号: 昭和24(オ)347 / 裁判年月日: 昭和25年6月13日 / 結論: 棄却
解任された取締役につきなされた辞任の登記は、取締役たる資格消滅という身分変動については、結局真実に合致しているから、登記としてその効力を有する。
事件番号: 昭和39(オ)711 / 裁判年月日: 昭和41年1月18日 / 結論: 棄却
株主総会の議事録は、総会に関する事実の記録であり、証拠文書として作成を要求されているが、これを作成しなくても決議の効力には影響なく、その記載の不備により議事録自体の効力を左右するものではない。
事件番号: 昭和30(オ)430 / 裁判年月日: 昭和35年3月9日 / 結論: その他
地方公共団体の議会議員の任期が満了したときは、除名処分の取消を求める訴の利益は失われる。