判旨
法定代理人である後見人から不動産の処分につき代理権を授与された復代理人が、その後代理人として売買契約を締結した場合、その売買の効果は本人に帰属する。
問題の所在(論点)
法定代理人である後見人から代理権を与えられた「後代理人(復代理人)」がなした不動産処分行為の効果は、本人に帰属するか。また、事実審において主張されていない事実を判決の基礎とすることができるか。
規範
法定代理人(後見人)が、その権限の範囲内において、特定の法律行為(不動産の処分等)をなすことを第三者に委託し、代理権を授与した場合、当該第三者は後見人の代理人(復代理人に準ずる地位)として、本人に対して直接その行為の効力を及ぼす権限を有する。
重要事実
上告人の法定代理人である後見人Eは、訴外Dに対し、本件不動産の処分に関する代理権を授与した。Dは、昭和23年2月20日、後代理人として北岸利一との間で本件不動産の売買契約を締結した。その後、本件不動産の所有権帰属等が争われ、Dによる売買契約の効力が本人(上告人)に及ぶかどうかが問題となった。
あてはめ
本件において、訴外Dは後見人Eから適法に不動産処分の代理権を与えられていた。Dはこの権限に基づき、昭和23年2月20日に売買契約を締結している。これは後代理人としての正当な権限行使であり、その法律効果は本人である上告人に帰属すると解される。また、被上告人は当該売買契約の事実を事実審において主張していたことが記録上明白であり、弁論主義に反する違法も認められない。
結論
本件不動産の売買契約は有効であり、その効果は上告人に帰属する。したがって、原審の判断に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和29(オ)976 / 裁判年月日: 昭和31年6月1日 / 結論: 棄却
本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条第一項第一号の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。
法定代理人による復代理人の選任とその権限行使の有効性を認める事例である。答案上は、復代理人の権限(民法104条〜107条関連)や、法定代理人の権限の範囲内での委任の可否を論じる際の基礎資料として活用できる。ただし、本判決は簡潔な事実認定の追認にとどまるため、具体的な委任の要件については他の重要判例を併用すべきである。
事件番号: 昭和29(オ)231 / 裁判年月日: 昭和30年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法110条の「正当な理由」が認められるためには、相手方が無権代理人に代理権があると信じたことにつき、取引上必要とされる注意を欠かないことが必要である。 第1 事案の概要:上告人Aは、被上告人の代理人と称するDとの間で、被上告人所有の土地建物を買い受ける売買契約を締結した。しかし、Dには当該売却の…
事件番号: 昭和38(オ)565 / 裁判年月日: 昭和39年9月18日 / 結論: 棄却
代理権を有する者のなした権限外の行為がその代理権となんら関係のない場合でも、相手方において代理人に権限があると信ずるに足る正当な理由があるときには、民法第一一〇条の適用がある。
事件番号: 昭和34(オ)1280 / 裁判年月日: 昭和36年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の二重譲渡において、第一の譲受人は、自らが未だ所有権移転登記を備えていない以上、第二の譲受人に対して所有権の取得を対抗することができない。これは、第二の譲受人の有する登記が有効であるか否かを問わない。 第1 事案の概要:上告人は、本件不動産を譲り受けたと主張しているが、未だその所有権取得の登…