判旨
人身保護請求却下決定に対する特別抗告事件の抗告却下決定は、民事訴訟法上の「即時抗告をもって不服を申し立てることができる決定又は命令」には当たらないため、これに対して再審の申立てをすることは許されない。
問題の所在(論点)
人身保護請求却下決定に対する特別抗告を却下した最高裁判所の決定に対し、民事訴訟法の再審規定を準用して不服を申し立てることが認められるか。
規範
再審の申立ての対象となる決定または命令は、民事訴訟法(昭和27年当時)第429条により「即時抗告をもって不服を申し立てることができる決定又は命令」に限られる。人身保護法上の手続においてなされた特別抗告の却下決定は、同規定に該当せず、再審の対象とはなり得ない。
重要事実
申立人は、人身保護法第7条、同規則第8条および第9条第1項の規定に基づき、人身保護請求の却下決定に対して特別抗告を行った。しかし、最高裁判所がこの特別抗告を却下した決定に対し、申立人はさらに再審を求めて本件申立てを行ったものである。
あてはめ
民事訴訟法(旧法)第429条において再審の申立てが認められるのは、独立して即時抗告ができる性質の決定・命令に限られる。本件における「特別抗告の却下決定」は、それ自体が即時抗告をなしうる性質のものではない。人身保護法上の手続は迅速性が要求される一方、特別抗告自体が憲法違反等を理由とする例外的な不服申立手段であり、その却下決定に対してさらに再審という形で不服を認めることは、民事訴訟法の予定する不服申立の枠組みに該当しないと解される。
結論
本件再審の申立ては不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和26(し)93 / 裁判年月日: 昭和27年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対しては、当該裁判所への異議の申立てが認められているため、他に不服を申し立てることができないときに当たらない。したがって、刑訴法433条1項に基づく最高裁判所への特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:本件は、高等裁判所が刑訴法447条1項によりなした…
人身保護手続や民事訴訟における特別抗告却下決定に対する再審の可否を論じる際の根拠となる。決定に対する再審(民訴法349条)の客体が限定的であることを示す趣旨で活用できる。
事件番号: 昭和28(ク)119 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告が適法となるのは、憲法違反または憲法解釈の誤りを不服理由とする場合に限られる。人身保護法に基づく事件であっても、単なる手続上の不備や事実関係の是正を求める抗告は、不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、松江刑務所における拘束の是正を求めて人身保護法に基づく請求を…
事件番号: 昭和29(ヤ)3 / 裁判年月日: 昭和29年3月24日 / 結論: 却下
最高裁判所がなした上告棄却の判決に対する異議却下決定に対してなされた特別抗告につき、最高裁判所のなした却下決定に対しては再審の申立は許されない。
事件番号: 昭和33(し)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月27日 / 結論: 棄却
一 確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、憲法にいう「裁判の対審」に当たらない 二 刑訴法第四三五条第六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり証明力も高度のものをいい、被告人が弁護人に宛てた書信の如きを含まない 三 同条同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは法定刑の軽い罪をいい、心神耗弱…
事件番号: 昭和27(マ)176 / 裁判年月日: 昭和27年12月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所のなした決定に対して異議を申し立てることは、法に別段の定めがない限り許されない。 第1 事案の概要:申立人は、訴訟上救助申立却下決定に対する再抗告事件について最高裁判所第一小法廷がなした抗告却下決定(昭和27年11月20日)に対し、不服として異議の申立てを行った。 第2 問題の所在(論点…