判旨
高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対しては、当該裁判所への異議の申立てが認められているため、他に不服を申し立てることができないときに当たらない。したがって、刑訴法433条1項に基づく最高裁判所への特別抗告をすることはできない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が行った再審請求棄却決定について、刑訴法433条1項にいう「他に不服を申し立てることができないとき」に該当し、特別抗告が認められるか。
規範
最高裁判所への特別抗告(刑訴法433条1項)は、決定・命令に対して「他に不服を申し立てることができないとき」に限り許容される。これに対し、高等裁判所が再審請求を棄却した決定については、刑訴法428条、450条に基づき、当該高等裁判所への異議の申立てが可能である。
重要事実
本件は、高等裁判所が刑訴法447条1項によりなした再審請求棄却決定に対し、不服申し立て人が最高裁判所へ特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
高等裁判所の再審請求棄却決定は、刑訴法428条および450条により、同一裁判所に対する異議の申立てという不服申立ての手段が明文で認められている。このように、法律上別途不服を申し立てる経路が確保されている以上、同決定は「他に不服を申し立てることができないとき」という特別抗告の要件を満たさないと評価される。
結論
高等裁判所の再審請求棄却決定に対する特別抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告の「補充性」の原則を確認する判例である。再審手続に限らず、抗告や異議の申立てが可能な裁判に対しては、まずはそれらの通常不服申立て手段を尽くすべきであり、直ちに特別抗告を申し立てることはできないという実務上の鉄則を示すものとして機能する。
事件番号: 昭和28(し)94 / 裁判年月日: 昭和29年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のなした再審請求棄却決定に対しては異議の申立てが可能であるため、これに対する特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:福岡高等裁判所に対し再審請求がなされたが、同裁判所はその請求を棄却する決定を下した。これに対し、請求人が最高裁判所に対して特別抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の…
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…
事件番号: 昭和28(し)49 / 裁判年月日: 昭和31年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がある場合に限り許される。特別抗告として解釈する場合であっても、法定の提起期間を徒過し、かつ抗告理由が法定の事由に該当しないときは、当該申立ては不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、昭和28年4月30日…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和33(し)57 / 裁判年月日: 昭和33年8月28日 / 結論: 棄却
高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては刑訴法第四二七条によつて再抗告ができないのであるから、同四二八条二項三項は適用の余地がない。