判旨
高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がある場合に限り許される。特別抗告として解釈する場合であっても、法定の提起期間を徒過し、かつ抗告理由が法定の事由に該当しないときは、当該申立ては不適法である。
問題の所在(論点)
高等裁判所がした再審請求棄却決定に対し、最高裁判所へ直接抗告を申し立てることの可否、および当該申立てを特別抗告と解した場合の適法性。
規範
1. 高等裁判所がした決定に対する最高裁判所への抗告は、訴訟法(刑訴応急措置法等)に特別の規定がある場合に限り許容される。2. 特別の規定に基づく抗告(特別抗告)として受理されるためには、法定の提起期間(5日)を遵守し、かつ当該規定が定める不服申立事由を具体的に主張することを要する。
重要事実
抗告人は、昭和28年4月30日に東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定(旧刑事訴訟法適用)に対し、既に同裁判所へ抗告を申し立て、不適法として棄却されていた。しかし、抗告人は、同年7月1日に前述の棄却決定謄本の送達を受けた後、同年7月2日に、改めて最高裁判所に対して本件抗告を申し立てた。
あてはめ
本件再審請求棄却決定に対する抗告は、刑事訴訟応急措置法18条等の特別の規定がない限り許されない。仮に本件申立てを同法18条による特別抗告と解したとしても、同決定謄本の送達(昭和28年5月10日)から同条2項所定の5日の提起期間を大幅に経過して申し立てられている。また、主張されている抗告理由も、同条が限定する事由(憲法違反等)に該当しないことが明らかである。
結論
本件抗告申立ては不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…
高等裁判所の決定に対する不服申立てが、特別抗告の要件(期間遵守・憲法違反等の事由)を満たさない限り門前払いされることを示した実務上基本的な判例である。現行法下における刑事訴訟法405条、433条等の特別抗告・上告受理申立ての適法性を検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和28(し)94 / 裁判年月日: 昭和29年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のなした再審請求棄却決定に対しては異議の申立てが可能であるため、これに対する特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:福岡高等裁判所に対し再審請求がなされたが、同裁判所はその請求を棄却する決定を下した。これに対し、請求人が最高裁判所に対して特別抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の…
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…
事件番号: 昭和28(き)7 / 裁判年月日: 昭和28年8月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告が不適法または明らかに上告理由に当たらないとしてなされた上告棄却の決定に対し、刑事訴訟法436条に基づく再審請求は許されない。再審は確定した「判決」に対する実体的な不服申し立て制度であり、証拠に基づかない手続的決定は再審の対象に含まれないと解される。 第1 事案の概要:再審請求人(被告人)は、…
事件番号: 昭和37(し)22 / 裁判年月日: 昭和37年8月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する特別抗告において、抗告理由が単なる違憲の主張にとどまり、原決定による憲法判断の不当性を具体的に示すものでない場合は、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:強盗殺人被告事件について、昭和37年5月29日に東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定に対し、特別抗告が申し立てら…