判旨
再審請求棄却決定に対する特別抗告において、抗告理由が単なる違憲の主張にとどまり、原決定による憲法判断の不当性を具体的に示すものでない場合は、不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
再審請求棄却決定に対する特別抗告において、単に違憲をいうにとどまる主張が、刑訴応急措置法18条にいう適法な抗告理由にあたるか。
規範
旧刑事訴訟法下における再審請求棄却決定に対する特別抗告(刑訴応急措置法18条)が適法となるためには、単に違憲を主張するだけでは足りず、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてなされた判断が不当であることを具体的に主張しなければならない。
重要事実
強盗殺人被告事件について、昭和37年5月29日に東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定に対し、特別抗告が申し立てられた。抗告人は、抗告理由の中で違憲を指摘していたが、原決定が示した憲法解釈や適憲性の判断自体を具体的に争う内容ではなかった。
あてはめ
本件抗告理由は違憲をいう点は含まれている。しかし、原決定の内容と対比すると、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを主張するものではない。したがって、特別抗告の要件を満たす具体的な不服申立てとは認められない。
結論
本件特別抗告は不適法であり、棄却される。
実務上の射程
旧法下の事件に関する決定であるが、現在の刑事訴訟法405条1号及び433条等の特別抗告・上告受理申立てにおいて、憲法違反を主張する際の具体的適示の必要性を理解する上での参考となる。単なる形式的な違憲主張ではなく、原判決の憲法判断との対比が不可欠である。
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…
事件番号: 昭和28(し)49 / 裁判年月日: 昭和31年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がある場合に限り許される。特別抗告として解釈する場合であっても、法定の提起期間を徒過し、かつ抗告理由が法定の事由に該当しないときは、当該申立ては不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、昭和28年4月30日…
事件番号: 昭和47(し)75 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する抗告であっても、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張に帰する場合には、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人本人が憲法76条3項違反を、弁護人が憲法36条および38条違反を主張して抗告を申し立てた事案である。しかし、それらの主張は具体的・実質的には原審の事実…
事件番号: 昭和36(し)34 / 裁判年月日: 昭和36年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される再審請求棄却決定に対する特別抗告において、憲法違反の主張が含まれない場合は、適法な抗告理由を欠くものとして不適法となる。 第1 事案の概要:強盗殺人被告事件について、昭和36年7月4日に東京高等裁判所がなした再審請求棄却決定に対し、特別抗告が申し立てられた。本件は旧法事件で…
事件番号: 昭和26(し)105 / 裁判年月日: 昭和28年7月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、刑訴応急措置法などの特別の規定により許容される場合を除き、抗告を申し立てることはできない。また、再審請求等において新証拠の提示もなく事実認定を争うのみでは、適法な特別抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人は、原確定判決が認定した自らの性行、死因、犯行の原因、動機、お…