判旨
最高裁判所に対しては、刑訴応急措置法などの特別の規定により許容される場合を除き、抗告を申し立てることはできない。また、再審請求等において新証拠の提示もなく事実認定を争うのみでは、適法な特別抗告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告が許容される範囲、および新証拠を伴わない事実誤認の主張が適法な特別抗告理由となり得るか。
規範
最高裁判所に対する抗告は、刑訴応急措置法18条のように特に最高裁判所への抗告が許された場合を除き、原則として許されない。また、特別抗告を申し立てるに際しては、単なる事実誤認や心神耗弱の主張に留まり、新証拠の提示を伴わない場合は、適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
被告人は、原確定判決が認定した自らの性行、死因、犯行の原因、動機、および犯意などを否認した。さらに、犯行当時に心神耗弱の状態にあったことを主張して特別抗告を申し立てた。しかし、これらの主張を裏付けるための新証拠は一切示されていなかった。
あてはめ
本件抗告理由は、原判決の認定した事実関係(被告人の性行、死因、動機等)を否定し、心神耗弱を主張するものに過ぎない。これらは実質的に事実認定の不当を訴えるものであるが、それを支える新証拠が「少しも示されていない」。したがって、法律上特別に認められた抗告理由には該当せず、形式的要件を欠くものといえる。
結論
本件特別抗告は棄却される。最高裁への抗告は、特段の法的根拠がある場合を除き許されず、かつ本件の主張は適法な理由に当たらない。
実務上の射程
最高裁への不服申立てが極めて限定的であることを示す。刑事訴訟において、単なる事実認定の不服や証拠に基づかない責任能力の主張では、上訴維持が困難であることを実務上再確認する素材となる。
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…
事件番号: 昭和28(し)49 / 裁判年月日: 昭和31年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がある場合に限り許される。特別抗告として解釈する場合であっても、法定の提起期間を徒過し、かつ抗告理由が法定の事由に該当しないときは、当該申立ては不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、昭和28年4月30日…
事件番号: 昭和29(し)56 / 裁判年月日: 昭和30年1月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、刑事訴訟法応急措置法18条等の特別の規定がある場合に限り許容され、それ以外の規定に基づかない抗告は管轄権を欠き不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、当該抗告が刑事訴訟法応急措置法18条に基づき特に最高裁判所への申立てを許容さ…
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…
事件番号: 昭和37(し)22 / 裁判年月日: 昭和37年8月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する特別抗告において、抗告理由が単なる違憲の主張にとどまり、原決定による憲法判断の不当性を具体的に示すものでない場合は、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:強盗殺人被告事件について、昭和37年5月29日に東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定に対し、特別抗告が申し立てら…