判旨
仮の地位を定める仮処分決定に対する不服申立てを理由として、当該決定の執行停止を求めることは、法律上許されない。
問題の所在(論点)
仮の地位を定める仮処分決定に対し、不服申立てを理由としてその執行の停止を求めることが法律上許されるか。
規範
権利の終局的実現を目的とせず、単に争いがある権利関係について暫定的な状態を定めるに過ぎない仮処分決定については、これに対する不服申立てを理由とする執行停止の申立ては認められない。
重要事実
東京地方裁判所がなした地位保全・賃金支払等仮処分決定に対し、相手方(申請人)が当裁判所に不服を申し立て、それを理由として当該仮処分決定の執行停止を求めた事案である。
あてはめ
本件仮処分決定は、権利の終局的実現をはかるものではなく、単に相手方のために仮の地位を定めたに過ぎない。このような性質の決定に対して不服申立てをなしたとしても、それを理由に執行停止を求めることは、仮処分制度の趣旨に照らし法律上の根拠を欠く。
結論
本件執行停止の申請は法律上許されないため、却下される。
実務上の射程
仮の地位を定める仮処分(民事保全法23条2項)の性質上、不服申立て(保全異議等)があったとしても、原則として執行停止の裁判は予定されていないとする実務上の準則を示すものである。現在の民事保全法下においても、保全執行の停止には別途厳格な要件(同法27条、31条等)が必要とされる点に留意すべきである。
事件番号: 昭和44(ク)240 / 裁判年月日: 昭和44年9月20日 / 結論: 却下
仮処分決定に対する異議申立に伴う執行停止の申立に対し、裁判所が実質的審査をしてその許否を決したときは、その裁判に対して不服申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和23(マ)3 / 裁判年月日: 昭和23年3月3日 / 結論: 却下
仮処分を命じた判決に対し上訴の提起せられた場合、その判決の内容が、権利保全のためにする緊急処置たる範囲を逸脱して権利の終局的実現を命じているときの外、仮処分判決の執行停止決定をすることはできない。
事件番号: 昭和44(ク)239 / 裁判年月日: 昭和44年9月20日 / 結論: 却下
仮処分決定に対する異議申立に伴う執行停止の申立に対し、裁判所が実質的審査をしてその許否を決したときは、その裁判に対し不服申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和43(ク)145 / 裁判年月日: 昭和43年9月3日 / 結論: 却下
仮処分決定に対する異議申立または仮処分判決に対する上訴に伴う執行停止の許否については、原則として、これを消極に解すべく、その停止が許されるのは、きわめて例外的な場合に限られるものと解すべきであるが、例外的な場合に停止を許すことがそれ自体として憲法に反するものではない。