判旨
担保物件の目的を達成するため、債務不履行時には債権者が担保物件を処分するためにその明渡しを請求できるとする特約は有効である。
問題の所在(論点)
債務不履行を停止条件として、担保権者が担保物件を処分するためにその明渡しを請求できるとする特約の効力、および当該特約に基づく請求の可否。
規範
担保契約において、債務者が債務を履行しない場合に、債権者が担保物件を処分する目的で当該物件の明渡しを請求できる旨の合意(約旨)がある場合、その特約に基づく明渡請求権が認められる。
重要事実
上告人(債務者)らと被上告人(債権者)との間で担保契約が締結された。その際、上告人らが債務を履行しない場合には、被上告人が担保物件を処分するためにその明渡しを請求することができるとの約旨が存在していた。債務の不履行が生じたため、被上告人が上告人らに対し、担保物件の明渡しを求めた事案である。
あてはめ
本件では、原審において「債務を履行しない場合には、被上告人はその担保物件を処分するためにその明渡しを請求することができる」との合意があったことが認定されている。このような合意は、担保権の実行(換価処分)を円滑に行うための合理的かつ有効な特約であるといえる。したがって、債務不履行の事実が発生した以上、当該特約に基づき、処分に必要な前提作業として明渡しを求めることは正当であると判断される。
結論
被上告人の明渡請求を認めた原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
譲渡担保や代物弁済予約に伴う明渡請求の事案において、明文の規定がない場合でも、契約上の特約(約旨)を根拠として占有の移転を求める際の論拠として活用できる。実務上は、担保権実行としての処分権限に付随する権利として位置付けられる。
事件番号: 昭和29(オ)637 / 裁判年月日: 昭和31年4月6日 / 結論: 棄却
借家法第五条は、賃借人の債務不履行ないしその背信行為のため賃貸借が解除されたごとき場合には、その適用がないものと解すべきである。