既に代物弁済の登記を経た旨の通知が代物弁済予約完結の意思表示を含むものとされた事例
判旨
代物弁済の予約に基づく完結権の行使については、書面の文面のみならず、従来の交渉経過等の諸事情を総合して、代物弁済を完結させる意思表示が含まれているか否かを判断すべきである。
問題の所在(論点)
債務の担保のためになされた代物弁済の予約において、提出された書面が「代物弁済完結の意思表示」を含むものとして認められるか。書面の文言とそれまでの経過の考慮が問題となる。
規範
代物弁済完結の意思表示の有無は、当該書面の文言の客観的意味のみならず、当事者間の従来の経過や書面作成に至る背景事情を総合的に考慮して解釈すべきである。
重要事実
上告人は、債権の担保として代物弁済の予約を締結していた。その後、上告人は乙第七号証(甲第十三号証の一)を提出したが、当該書面に代物弁済を完結させる旨の明確な表示が含まれているかが争点となった。原審は、当該書面の文面および判示のような従来の経過を併せ考え、代物弁済完結の意思表示を含むものと認定した。
あてはめ
本件書面(乙第七号証)の文面そのものに加え、当事者間における「従来の経過」を併せて考慮すれば、当該書面には代物弁済を完結させ、目的物の所有権を確定的に移転させる意思表示が含まれていると解するのが相当である。単なる文言の不備のみをもって意思表示の存在を否定することはできず、実態に即した解釈がなされるべきである。
結論
本件書面には代物弁済完結の意思表示が含まれていると認められるため、原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
意思表示の解釈に関する事例判断であるが、担保目的の代物弁済予約において「いつ完結権が行使されたか」が争点となる実務上の場面で活用できる。明示的な「完結する」との言葉がなくても、文脈や経過から意思表示を擬制あるいは認定し得ることを示している。
事件番号: 昭和27(オ)837 / 裁判年月日: 昭和29年7月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】担保物件の目的を達成するため、債務不履行時には債権者が担保物件を処分するためにその明渡しを請求できるとする特約は有効である。 第1 事案の概要:上告人(債務者)らと被上告人(債権者)との間で担保契約が締結された。その際、上告人らが債務を履行しない場合には、被上告人が担保物件を処分するためにその明渡…