判旨
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、実質的に事実認定の非難や単なる訴訟法規違背の主張にすぎない場合は、上告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
上告人が主張する憲法違反の訴えが、実質的に事実認定の非難や単なる訴訟法規の違背にすぎない場合に、適法な上告理由として認められるか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」1号から3号のいずれにも該当せず、かつ「法令の解釈に関する重要な主張」を含まない場合、上告は認められない。また、形式的に憲法違反を主張していても、その実質が事実認定の非難や単なる訴訟法規違背の主張に帰着する場合には、正当な上告理由としての違憲の主張とは認められない。
重要事実
上告人は、原審の判決に対し、憲法違反等を理由として最高裁判所に上告を提起した。しかし、その主張内容は原審が行った事実認定の妥当性を争うもの、あるいは手続上の法規違反を指摘するものであった。
あてはめ
本件の上告論旨は、特例法1号ないし3号のいずれの要件も満たしておらず、法令解釈に関する重要な主張も含まれていない。上告人は憲法違反を主張するが、その具体的な内容は原審の適法な事実認定を非難するもの、あるいは単なる訴訟手続の違背を主張するものにすぎない。したがって、これらは実質的に違憲の主張とは認められず、上告理由を構成しないと解される。
結論
本件上告は棄却される。上告費用は上告人の負担とする。
実務上の射程
最高裁への上告において、憲法違反を名目としながら実質的に事実認定(いわゆる「事実誤認」)を争う主張は、不適法な上告理由として排斥されることを示す。司法試験においては、上告受理申立てや上告理由の適格性を検討する際の基礎的な法理として機能する。
事件番号: 昭和27(オ)790 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張も含まない上告は、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)における証拠の取捨選択および事実認定を不服として上告を提起したが、その主張の内容は、事実認定の当否を非難するにとどまるも…