判旨
裁判所は、判決中に明白な誤謬があるときは、職権により更正決定をすることができる。本件では、判決理由中の法令の制度に関する記述において、不要な語句が含まれていた誤りを職権で更正した。
問題の所在(論点)
判決理由中に事実誤認や法令の解釈・記述上の不適切な表現が含まれ、それが「明白な誤謬」に該当する場合、どのような手続によって修正すべきか。
規範
判決に明白な誤謬がある場合には、裁判所は職権により更正決定を行うことができる(民事訴訟法257条1項参照)。
重要事実
最高裁判所が昭和28年12月25日に言い渡した自作農創設特別措置法に基づく指示をしない旨の決定取消請求上告事件の判決理由において、「同法六条の三の規定に基く地方長官の農地委員会に対する指示の制度」という記述がなされていた。
あてはめ
本件判決理由中の「地方長官の農地委員会に対する指示」という表現は、同法6条の3の規定に基づく指示の制度を説明する上で不適切または誤りを含むものであった。これは判決の結論に影響を及ぼす実質的な判断の変更ではなく、表現上の明白な誤謬であると認められる。
結論
最高裁判所は職権により、判決理由中の「地方長官の農地委員会に対する」という部分を削除する更正決定をした。
実務上の射程
判決更正の制度(民訴法257条)の具体例を示すものである。判決確定前後を問わず、計算違い、書き損じ、その他これらに類する明白な誤りがある場合に、裁判所の職権または申立てにより簡便に是正できることを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和27(オ)75 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 破棄自判
自作農創設特別措置法第六条の三による遡及買収計画の指示をしない旨の都道府県農業委員会の決定の取消を求める訴は、同法の廃止により、その利益が失われる。
事件番号: 昭和27(オ)773 / 裁判年月日: 昭和29年2月19日 / 結論: 棄却
村農地委員会が自作農創設特別措置法第三条第一項第一号に該当する農地として定めた買収計画について、その農地が同条第五項第二号に該当する故をもつて、農地所有者の申し立てた異議を斥けることは違法ではない。
事件番号: 昭和28(オ)847 / 裁判年月日: 昭和30年8月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決中に明白な誤謬があるときは、裁判所は職権によって更正決定をすることができる。本件では参照判例の事件番号の誤記を更正した。 第1 事案の概要:最高裁判所が昭和30年6月24日に言い渡した土地所有権移転登記手続請求事件の判決理由において、引用した大正13年の連合部判決の事件番号を「大正12年(オ)…
事件番号: 昭和29(オ)256 / 裁判年月日: 昭和33年9月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法に基づく農地買収において、一旦定められた買収計画が異議により事実上取り消された場合、法定の買収指示請求がなくても、市町村農地委員会は都道府県農地委員会の指示や職権によって再度買収計画を策定することが可能である。 第1 事案の概要:上告人らが所有する農地について、法6条の2に基づ…