判旨
判決中に明白な誤謬があるときは、裁判所は職権によって更正決定をすることができる。本件では参照判例の事件番号の誤記を更正した。
問題の所在(論点)
判決理由中で引用された過去の判例の事件番号に誤りがある場合、これが「明白な誤謬」にあたり、職権による更正決定の対象となるか。
規範
判決に計算の誤り、書損その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる(民事訴訟法257条1項参照)。
重要事実
最高裁判所が昭和30年6月24日に言い渡した土地所有権移転登記手続請求事件の判決理由において、引用した大正13年の連合部判決の事件番号を「大正12年(オ)第672号」と記載していた。
あてはめ
本件判決理由中の「第六七二号」という記載は、本来「第六六四号」と表記されるべきものであり、客観的にみて参照判例の特定に関する単純な誤記であることが明白である。これは判決の主旨に影響を及ぼすものではないが、正確な表示を期すべき判決書における「明白な誤謬」に該当すると判断される。
結論
判決理由中の事件番号「第六七二号」を「第六六四号」に更正する決定を下した。
実務上の射程
民事訴訟法257条に基づく更正決定の具体例(単純な誤記の修正)を示すものである。実務上、当事者の表示や物件目録の誤りだけでなく、判決理由中の引用情報等の形式的誤りも更正の対象となることを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和34(オ)676 / 裁判年月日: 昭和37年3月20日 / 結論: 棄却
不動産の売買契約の代理権の存否が争点となつている事件において、売渡証書の売主(被告)名下の印影が同一の印と一致するかどうかにつき、当事者間に争いがあるのにかかわらず、これを争いなしと判断し、右判断を代理権授与の認定の資料に供した違法があつても、数個のかつ多角的な内容を有する間接事実を採用してこれを代理権授与の認定の資料…
事件番号: 昭和27(オ)75 / 裁判年月日: 昭和29年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所は、判決中に明白な誤謬があるときは、職権により更正決定をすることができる。本件では、判決理由中の法令の制度に関する記述において、不要な語句が含まれていた誤りを職権で更正した。 第1 事案の概要:最高裁判所が昭和28年12月25日に言い渡した自作農創設特別措置法に基づく指示をしない旨の決定取消…
事件番号: 昭和27(オ)163 / 裁判年月日: 昭和29年5月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で追加された請求が、元の請求と請求原因を全く異にし、かつ元の請求の当否を判断する先決関係にもない場合、それは訴の変更に該当する。その変更が訴訟手続を遅延させると認められるときは、裁判所はこれを許容しないことができる。 第1 事案の概要:上告人は第一審において、対象土地の所有権確認および移転登…
事件番号: 昭和37(ヤ)37 / 裁判年月日: 昭和39年3月24日 / 結論: 破棄自判
適法な期間内に上告理由書の提出があつたにもかかわらず、上告受理通知書の送達日時に誤記のある送達報告書に依拠し、十分な職権調査を尽すことなく、期間徒過の提出と判断して上告却下の判決をした場合は、民訴法第四二〇条第一項第九号の再審理由にあたる。