判旨
帰属不明の無効投票が混入している場合、改正公職選挙法に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引いた上で当選の効力を判断すべきである。
問題の所在(論点)
潜在的無効投票が発見された場合における当選の効力(有効投票の計算方法)について、改正公職選挙法209条の2をどのように適用すべきか。
規範
公職選挙法209条の2に基づき、帰属不明の無効投票(潜在的無効投票)があることが判明した場合には、同法95条(当選人の決定)の適用に関する各候補者の有効投票の計算において、開票区ごとに、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して得た数をそれぞれ差し引くものとする。
重要事実
昭和26年4月に実施された青森県北津軽郡D議会議員一般選挙において、投票中に25票の「潜在的無効投票(帰属不明の無効投票)」が混入していた。県選挙管理委員会は、これを理由に上告人らの当選を無効とする裁決を行い、上告人らがその取消しを求めて提訴した。原審は25票の潜在的無効投票を認定した上で上告人らの請求を棄却したが、訴訟継続中に公職選挙法209条の2が新設され、附則により現に係属中の訴訟にも適用されることとなった。
あてはめ
本件では25票の帰属不明の無効投票が認められる。改正後の公職選挙法209条の2によれば、このような場合には単純に当選を無効とするのではなく、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分し、それぞれの得票数から差し引く計算を行う必要がある。原審はこの新法による按分計算を経ずに当選を無効と判断しており、法の適用を誤っている。当選の効力を再判断するためには、本件選挙における有効投票の総数および各候補者の正確な得票数を確定し、按分計算を行う必要がある。
結論
原判決を破棄し、按分計算に基づく当選の効力を判断させるため、本件を原審である仙台高等裁判所に差し戻す。
事件番号: 昭和27(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】帰属不明の潜在無効投票がある場合、各候補者の有効投票数の計算は、公職選挙法209条の2に基づき、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分して差し引くべきである。 第1 事案の概要:昭和26年の町議会議員選挙において、上告人Aは96票で当選し、訴外Eは95票で次点落選した。Eが当選無効を求めて提…
実務上の射程
選挙無効や当選無効の訴訟において、潜在的無効投票が判明した場合の処理を定めた実務上の基本ルールを示すものである。答案上では、公職選挙法209条の2の適用の有無が問題となる場面で、条文の文言に沿って按分計算が必要であることを指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和27(オ)189 / 裁判年月日: 昭和28年2月10日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】潜在的無効投票がある場合、公職選挙法209条の2の規定に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引くべきである。改正法の附則により、このルールは施行時に現に係属している訴訟にも適用される。 第1 事案の概要:昭和26年4月の青森県西津軽郡議員選挙において、1…
事件番号: 昭和27(オ)247 / 裁判年月日: 昭和30年2月17日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】公職選挙法209条の2に基づき、帰属不明の潜在無効投票がある場合には、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分し、それぞれ差し引いて有効投票数を算出すべきである。 第1 事案の概要:町村議会議員選挙において、選挙権を有しない者による無効投票が17票存在し、それらが有効投票に…
事件番号: 昭和23(オ)98 / 裁判年月日: 昭和23年12月18日 / 結論: 棄却
一 本件のごとく、同日前に、町村制によつて、選舉が行われ、その選舉または當選の効力に關する異議申立期間の進行中において、地方自治法が施行せられた場合であつても同樣であつて、特に別段の規定はないのであるから、上告論旨のように、異議申立期間に關してのみ、既に癈止せられた町村制第三三條第一項の規定が癈止後においても効力を有す…
事件番号: 昭和28(オ)1286 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙の投票において、特定の候補者の氏名が正確に記載されていない場合であっても、諸般の事情を考慮して当該候補者に対する投票であると合理的に認められるときは、これを有効投票と解すべきである。 第1 事案の概要:本件は選挙における投票の効力が争われた事案である。係争の投票6票について、特定の候補者Bの氏…