判旨
公職選挙法209条の2に基づき、帰属不明の潜在無効投票がある場合には、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分し、それぞれ差し引いて有効投票数を算出すべきである。
問題の所在(論点)
潜在無効投票が存在する場合、当選人の効力を判断するための有効投票数をどのように算出するべきか。特に、帰属不明の無効投票を各候補者の得票からどのように差し引くべきかが問題となる。
規範
潜在無効投票(選挙権を有しない者の投票等、無効原因が表面に現れず有効投票に算入されたことが推定され、かつ帰属が不明な投票)がある場合の当選人の決定においては、公職選挙法209条の2を適用または準用し、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分した数を差し引く方法によって有効投票数を計算する。
重要事実
町村議会議員選挙において、選挙権を有しない者による無効投票が17票存在し、それらが有効投票に算入されているが、どの候補者に投じられたか不明であった(潜在無効投票)。上告人らの得票数は124票から127票であり、次点者の得票数は115票であった。訴訟継続中に潜在無効投票の計算方法を定める改正公職選挙法(209条の2)が施行され、附則により本件にも遡及適用されることとなった。
あてはめ
本件における潜在無効投票は17票であり、各候補者の得票数(上告人ら124〜127票、次点者115票)に応じてこれを按分し、それぞれの得票から差し引く計算を行う。この計算方法を用いた場合、無効投票が17票と僅少であることに対し、上告人らと次点者の得票差(9票から12票)に照らせば、按分後の有効得票数においても上告人らが次点者を上回ることは算数上明白である。したがって、上告人らが当選人であることに変わりはないといえる。
結論
上告人らの有効投票数は次点者より多いため、上告人らが当選人であることを確認し、これと異なる裁決を取り消すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】帰属不明の潜在無効投票がある場合、各候補者の有効投票数の計算は、公職選挙法209条の2に基づき、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分して差し引くべきである。 第1 事案の概要:昭和26年の町議会議員選挙において、上告人Aは96票で当選し、訴外Eは95票で次点落選した。Eが当選無効を求めて提…
実務上の射程
選挙無効や当選無効の訴訟において、潜在無効投票の処理が争点となった際の標準的な計算枠組みを示すものである。答案上では、特定の無効投票の帰属が特定できない場合に、全得票を無効とするのではなく、得票比率に応じた「按分票」として処理する根拠として本規範を引用する。
事件番号: 昭和27(オ)692 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】帰属不明の無効投票が混入している場合、改正公職選挙法に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引いた上で当選の効力を判断すべきである。 第1 事案の概要:昭和26年4月に実施された青森県北津軽郡D議会議員一般選挙において、投票中に25票の「潜在的無効投票(帰…
事件番号: 昭和27(オ)189 / 裁判年月日: 昭和28年2月10日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】潜在的無効投票がある場合、公職選挙法209条の2の規定に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引くべきである。改正法の附則により、このルールは施行時に現に係属している訴訟にも適用される。 第1 事案の概要:昭和26年4月の青森県西津軽郡議員選挙において、1…
事件番号: 昭和37(オ)697 / 裁判年月日: 昭和37年12月26日 / 結論: 棄却
一 証明書を提出することができない理由記載欄に「証明者なし」と記載した選挙人自身が作成した疎明書と題する書面を提出しただけでは、公職選挙法施行令第五二条第三項の疎明があつたとはいえない。 二 不在者の投票用封筒の表面および裏面またはそのいずれかに公職選挙法施行令第五六条第六〇条所定事項の記載のない投票は、受理すべきでな…
事件番号: 昭和31(オ)687 / 裁判年月日: 昭和31年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙会における決定の効力は、開票の際に存在した事実上の投票状況を基礎として判断されるべきであり、事実認定に疑義がある場合には、証拠により確定された事実に従う。 第1 事案の概要:本件では、選挙会における決定の効力が争われた。具体的には、係争の投票4票が開票の際に存在したか否かが争点となり、上告人は…