判旨
潜在的無効投票がある場合、公職選挙法209条の2の規定に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引くべきである。改正法の附則により、このルールは施行時に現に係属している訴訟にも適用される。
問題の所在(論点)
潜在的無効投票が存在する場合、当選の効力を判断するための有効投票数の計算はどのように行われるべきか。また、訴訟継続中に施行された改正公職選挙法209条の2は本件に適用されるか。
規範
帰属不明の無効投票(潜在的無効投票)が判明した場合、当選人の決定に関する有効投票の計算については、開票区ごとに、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して得た数をそれぞれ差し引くものとする(公職選挙法209条の2)。また、同法改正時の附則により、本規定は施行時に係属中の訴訟にも遡及的に適用される。
重要事実
昭和26年4月の青森県西津軽郡議員選挙において、12票の潜在的無効投票が混入していた。県選挙管理委員会は、これを理由に上告人らの当選を無効とする裁決を行い、上告人らはその取消しを求めて提訴した。原審は11票の無効投票を認定して請求を棄却したが、その後の法改正により、潜在的無効投票の処理に関する新規定(公選法209条の2)が導入され、係属中の事件にも適用されることとなった。
あてはめ
本件選挙において潜在的無効投票の存在が認められる以上、新設された公職選挙法209条の2の規定に従い、各候補者の得票数から無効投票を按分して差し引く計算を行う必要がある。改正法附則2項但書によれば、同条は係属中の訴訟にも適用されるため、旧来の判断基準(按分計算を行わない判断)に基づき当選無効とした原判決は、法の適用を誤った違法なものといえる。当選の効力を正確に判断するには、按分計算の基礎となる有効投票総数および各候補者の得票数を改めて確定する必要がある。
結論
原判決を破棄し、改正法に基づく得票数の再計算および当選の効力を判断させるため、本件を原裁判所(仙台高等裁判所)に差し戻す。
事件番号: 昭和27(オ)692 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】帰属不明の無効投票が混入している場合、改正公職選挙法に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引いた上で当選の効力を判断すべきである。 第1 事案の概要:昭和26年4月に実施された青森県北津軽郡D議会議員一般選挙において、投票中に25票の「潜在的無効投票(帰…
実務上の射程
選挙無効・当選無効訴訟において「潜在的無効投票」の処理が問題となる場面でのリーディングケースである。答案上は、特定の候補者に帰属させられない無効票がある場合に、一律に当選無効とするのではなく、公選法209条の2に基づく「按分差し引き」という法的枠組みを提示し、具体的な計算プロセスの必要性を論じる際に用いる。
事件番号: 昭和27(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】帰属不明の潜在無効投票がある場合、各候補者の有効投票数の計算は、公職選挙法209条の2に基づき、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分して差し引くべきである。 第1 事案の概要:昭和26年の町議会議員選挙において、上告人Aは96票で当選し、訴外Eは95票で次点落選した。Eが当選無効を求めて提…
事件番号: 昭和24(オ)128 / 裁判年月日: 昭和24年10月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙権を有しない者の無効投票が当選の効力に影響を及ぼすかは、当選者各人の得票数から当該無効投票数を差し引き、なお次点者の得票数を上回るか否かによって判断すべきである。また、無効投票を理由に当選の無効を主張する訴訟は、選挙全体の無効を争う選挙訴訟ではなく、特定の者の当選の効力を争う当選訴訟に該当する…
事件番号: 昭和27(オ)247 / 裁判年月日: 昭和30年2月17日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】公職選挙法209条の2に基づき、帰属不明の潜在無効投票がある場合には、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分し、それぞれ差し引いて有効投票数を算出すべきである。 第1 事案の概要:町村議会議員選挙において、選挙権を有しない者による無効投票が17票存在し、それらが有効投票に…