判旨
帰属不明の無効投票(潜在的無効投票)が混入している場合、各候補者の有効投票数の計算は、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分して差し引くべきである。
問題の所在(論点)
潜在的無効投票が存在する場合、各候補者の得票数および当選の効力をどのように判断すべきか。特に、法改正による按分計算規定の適用範囲が問題となる。
規範
帰属不明の無効投票(いわゆる潜在的無効投票)が存在する場合、当選人の決定に関する各候補者の有効投票数の計算については、各候補者の得票数から、当該無効投票数を各候補者の得票数に按分して得た数をそれぞれ差し引くものとする(公職選挙法209条の2の趣旨)。
重要事実
昭和26年に行われた村議会議員選挙において、10票の潜在的無効投票が混入していた。選挙管理委員会は、これにより上告人を含む3名の当選を無効とする訴願裁決を行った。原審は、6票の潜在的無効投票を認定した上で、上告人の請求を棄却し当選無効を維持した。しかし、訴訟係属中に公職選挙法が改正され、潜在的無効投票の処理に関する新規定(209条の2)が設けられた。
あてはめ
公職選挙法209条の2および同改正法附則により、係属中の訴訟にも按分計算の規定が適用される。本件において、たとえ訴願裁決が認定した10票の潜在的無効投票があったとしても、改正法の定める按分計算(各候補者の得票比率に応じた差し引き)を適用すれば、計数上、上告人の当選が無効となる結果には至らないことが明らかである。
結論
按分計算の結果、上告人の当選は維持されるべきであり、上告人の当選を無効とした訴願裁決およびこれを維持した原判決は違法として取り消される。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】帰属不明の潜在無効投票がある場合、各候補者の有効投票数の計算は、公職選挙法209条の2に基づき、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分して差し引くべきである。 第1 事案の概要:昭和26年の町議会議員選挙において、上告人Aは96票で当選し、訴外Eは95票で次点落選した。Eが当選無効を求めて提…
選挙無効・当選無効訴訟において、無効票の帰属が特定できない場合の処理基準(按分票の計算)を確定させた実務上重要な判断である。答案上は、得票数の算定が争点となる場合に、公選法209条の2を根拠として按分計算を行うべき旨を指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和27(オ)189 / 裁判年月日: 昭和28年2月10日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】潜在的無効投票がある場合、公職選挙法209条の2の規定に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引くべきである。改正法の附則により、このルールは施行時に現に係属している訴訟にも適用される。 第1 事案の概要:昭和26年4月の青森県西津軽郡議員選挙において、1…
事件番号: 昭和27(オ)692 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】帰属不明の無効投票が混入している場合、改正公職選挙法に基づき、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して差し引いた上で当選の効力を判断すべきである。 第1 事案の概要:昭和26年4月に実施された青森県北津軽郡D議会議員一般選挙において、投票中に25票の「潜在的無効投票(帰…
事件番号: 昭和27(オ)247 / 裁判年月日: 昭和30年2月17日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】公職選挙法209条の2に基づき、帰属不明の潜在無効投票がある場合には、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分し、それぞれ差し引いて有効投票数を算出すべきである。 第1 事案の概要:町村議会議員選挙において、選挙権を有しない者による無効投票が17票存在し、それらが有効投票に…