判旨
金銭債務を担保する目的でなされた条件付代物弁済予約(条件附所有権移転契約)において、債務者が弁済期に債務を履行しないときは、当該予約に基づき目的物の所有権が債権者に移転する。
問題の所在(論点)
債権担保の趣旨でなされた条件付代物弁済予約に基づき、弁済期における不履行をもって目的不動産の所有権が債権者に移転するか。
規範
債務者が期日に弁済しないことを停止条件として、債権の担保を目的とする不動産の条件付所有権移転契約(条件付代物弁済)が成立している場合、当該条件が成就した時点で目的物の所有権は確定的に債権者に移転する。
重要事実
被上告人と債務者(D、E)との間に貸金債権が存在し、併せて「債務者が期日に弁済しないときは、本件不動産を被上告人に譲渡する」旨の債権担保を目的とした条件付代物弁済契約が締結された。その後、債務者は期限が到来しても債務を弁済しなかった。
あてはめ
本件では、被上告人と債務者との間で、期限内の不履行を条件とする不動産の譲渡契約が有効に成立している。債務者が期限に債務を弁済しなかったという事実が発生したことにより、当該譲渡契約の停止条件が成就したものと解される。したがって、担保の目的を達するために、契約の定めに従い本件不動産の所有権は被上告人へ移転したものと認められる。
結論
債務者が期限に弁済しなかったことにより、本件不動産の所有権は被上告人に移転する。
実務上の射程
本判決は、譲渡担保の一種である代物弁済予約の効力を認めたものであるが、その後の判例法理(清算義務等)や民法改正、仮登記担保法による規律を受ける点に留意が必要である。答案上は、予約完結権の行使を待たず「期限の経過」によって当然に移転する構成の可否を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和34(オ)989 / 裁判年月日: 昭和36年6月8日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】債務の残額に比して代物弁済の目的物の価格が著しく高価であり、予約完結権の行使が債務者に対しあまりに過酷な場合には、信義則(民法1条2項)または公序良俗(同90条)に反し無効となる。目的物の価格算定においては、単なる建築費のみならず、敷地賃借権の有無等の付加価値も考慮すべきである。 第1 事案の概要…
事件番号: 昭和49(オ)1087 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: その他
仮登記担保権者が目的不動産を自己の所有に帰属させるとの意思表示をしただけで清算をしないで仮登記のまま目的不動産を第三者に譲渡し、第三者が本登記を経た場合において、本登記が債務者の意思に基づかずにされたときは、債務者は第三者に対して右本登記の抹消手続を請求することができる。
事件番号: 昭和40(オ)1110 / 裁判年月日: 昭和43年2月29日 / 結論: 棄却
貸金債権担保のため不動産に抵当権が設定され、あわせて同一債権保全のため右不動産について代物弁済の予約が締結された場合において、右抵当権の実行による競売手続が開始したときは、右競売手続が競売申立の取下その他の事由により終了しないかぎり、債権者が代物弁済の予約の完結権を行使することは許されない。
事件番号: 昭和36(オ)258 / 裁判年月日: 昭和39年12月22日 / 結論: 破棄差戻
貸金債権を担保する不動産の売買予約完結権につき右債務を弁済したときは予約完結権のための所有権移転請求権保全の仮登記を抹消する旨の調停が成立した場合において、調停条項に右予約完結権の行使の効果について明記されておらずその他判示事情のもとでは、右調停により、前記予約完結権の行使の効果が当初の代物弁済的性質から、いわゆる清算…
事件番号: 昭和51(オ)1028 / 裁判年月日: 昭和52年2月17日 / 結論: 棄却
抵当不動産につき、抵当権者自身を権利者とする、賃借権又は抵当債務の不履行を停止条件とする条件付賃借権が設定され、その登記又は仮登記が抵当権設定登記と順位を前後して経由された場合において、競売申立までに対抗要件を具備した短期賃借権者が現われないまま、競落によつて第三者が当該不動産の所有権を取得したときには、特段の事情のな…