判旨
農地売渡通知書の交付によって国から個人へ所有権が移転した後になされた売渡留保の指定は、既に国の所有に属さない土地を対象とするものであるため、その効力を有しない。
問題の所在(論点)
農地売渡通知書の交付によって既に私人に売り渡され、国の所有に属さなくなった農地に対して、事後的に売渡留保の指定を行うことができるか。その指定の法的効力が問題となった。
規範
自作農創設特別措置法に基づく農地の売渡手続において、売渡通知書の交付により売渡が完了し、対象農地が国の所有から離脱した後は、当該農地を対象として売渡留保の指定を行うことはできない。
重要事実
上告人である県知事は、被上告人らに対し、本件農地について昭和23年12月を売渡時期とする売渡通知書を交付した。しかし、その後の昭和24年6月27日になって、自作農創設特別措置法施行規則7条の2の3に基づき、本件農地について売渡留保の指定および告示を行った。
あてはめ
本件では、売渡通知書の交付により、本件農地の所有権は既に国から被上告人らへ移転している。売渡留保の指定は、本来売渡を一時的に差し止める性質のものであるが、既に売渡が完了して国の所有に属さなくなった農地を対象に指定を行っても、その客体が存在しないのと同様であり、法的な効力を生じさせる余地はない。上告人自身も、被上告人の所有となった土地に対する指定が無効であることを認めるに至っている。
結論
本件売渡留保の指定は無効である。売渡済みの農地に対する留保指定を無効とした原判決に憲法違反等の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
行政処分の対象となるべき客体(国の所有地)が既に処分(売渡)によって喪失している場合、その客体に対する後続の行政処分(留保指定)は当然に無効となるという、処分の客体と効力の関係を示す一事例として機能する。
事件番号: 昭和27(オ)821 / 裁判年月日: 昭和29年6月22日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和29(オ)550 / 裁判年月日: 昭和31年4月13日 / 結論: 棄却
昭和二四年法律第二一五号による農地調整法改正前においても、同法第四条によつて市町村農地委員会が行う農地等の所有権、賃借権等の設定、移転等の承認は同委員会の自由な裁量に委せられていたものと解すべきでない。
事件番号: 昭和27(オ)1064 / 裁判年月日: 昭和29年3月9日 / 結論: 棄却
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