判旨
判決の言渡期日が法廷において告げられた後、さらにその期日を変更する場合、裁判長が法廷において新たな期日を告知すれば、当事者が不在であっても効力を生じ、改めて呼出状を送達する必要はない。
問題の所在(論点)
口頭弁論の終結後に判決言渡期日を変更する場合、裁判長が法廷で新期日を告知すれば、出廷していない当事者に対する呼出状の送達を欠いても民事訴訟法上の手続として適法か。
規範
裁判所が当事者双方出廷の口頭弁論において弁論を終結し、判決言渡期日を告知した後にその期日を変更する場合、裁判長が法廷において新たな期日を告知することによって告知の効力を生じる。この場合、当事者双方が法廷に出廷していなくとも、別途、言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することは不要である。
重要事実
本件において、原審(控訴審)は当事者双方が法廷に出廷した口頭弁論期日において弁論を終結し、裁判長が判決言渡期日を告知した。しかし、その後、裁判所は当初予定していた言渡期日を変更することとした。裁判長は法廷において新たな言渡期日を告知したが、その際、当事者双方は法廷に出廷しておらず、また変更後の期日に関する呼出状の送達も行われないまま判決が言い渡された。上告人は、このような手続は違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件では、当初の言渡期日が適法に告知された後、法廷において裁判長により期日の変更が告知されている。判例の枠組みに照らせば、裁判長が法廷で期日を告知した時点で告知としての効力は発生している。したがって、その場に当事者が現実に立ち会っていなかったとしても、あるいは改めて呼出状という形式で通知を受けなかったとしても、告知の手続に欠陥があるとはいえない。原審の手続において、再度呼出状を送達しなかったことは違法とは評価されない。
結論
判決言渡期日の変更の告知は法廷における告知で足り、当事者の出廷や呼出状の送達は不要である。したがって、原審の手続に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
期日の指定および変更に関する告知(民訴法94条参照)の解釈として、判決言渡期日については受領能力や手続保障の観点から緩和された運用を認めるものである。答案上は、訴訟手続の瑕疵(上告理由や控訴理由)を論じる際、期日告知の有効性を判断する基準として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)537 / 裁判年月日: 昭和35年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】口頭弁論期日に欠席した当事者がいる場合でも、出頭した相手方当事者に対して判決言渡期日を告知したときは、欠席した当事者に対しても告知の効力が生じ、改めて呼出状を送達する必要はない。 第1 事案の概要:上告人(控訴人)は、適法な呼出を受けながら原審の口頭弁論期日に出頭しなかった。原審は、出頭した被控訴…