判旨
私立学校法の趣旨に照らし、学校法人の設立当初の役員は、新役員及び新評議員の決定を待って交替すべきであり、寄附行為所定の手続を経ない限り、旧財団法人時代の評議員を当然に学校法人の評議員とみなすことはできない。
問題の所在(論点)
学校法人の設立に際し、寄附行為所定の選任手続を経ることなく、旧組織(財団法人等)の評議員を新組織の評議員と看做すことの可否、および当該手続を欠く者の評議員としての地位の有無。
規範
私立学校法が私立学校の自主性と公共性を高め、健全な発達を図ることを目的としていることに鑑みれば、学校法人設立当初の役員は、設立後に同法の趣旨に副う新役員・新評議員が決定された段階でこれと交替し、新体制によって管理がなされるべきである。したがって、評議員の資格取得には、寄附行為に定められた選任手続を厳格に経ることを要する。
重要事実
財団法人から学校法人へと組織変更等が行われた際、旧財団法人時代の理事会が、当時の評議員をそのまま新設された学校法人の評議員と看做す旨の決議を行った。しかし、上告人Aを含む4名は、学校法人の寄附行為において定められた評議員選任手続を適正に経ていなかった。原審は、当該看做し決議を無効とし、Aらが評議員の地位にないことを理由に、職務執行停止の仮処分に関連する判断を下した。
あてはめ
私立学校法の目的からすれば、適正な手続による役員・評議員の更新が不可欠である。本件では、寄附行為に評議員の選任手続が規定されているにもかかわらず、これに基づかない「看做し決議」によって評議員の地位を継続させようとしている。このような手続は法の趣旨に反する。したがって、所定の手続を経ていないAらは、たとえ従前の資格や認可の有無にかかわらず、法的に有効な評議員であるとは認められない。また、既に理事を辞任している者に対する職務執行停止の仮処分は形成的効力を生じ得ないため、上告の利益も否定される。
結論
寄附行為所定の手続を経て選任されていない者は、学校法人の評議員としての地位を有しない。また、既に退任した理事に対する職務執行停止の訴えは、特段の事情がない限り上告の利益を欠く。
実務上の射程
学校法人の役員等の地位の存否が争われる事案において、寄附行為に基づく選任手続の遵守を厳格に要求する法理として活用できる。組織変更時の役員の地位の承継について、当然の承継を否定し、新法下の適正手続を重視する判断枠組みを示すものである。
事件番号: 昭和28(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年4月30日 / 結論: 棄却
一 民訴第七五九条の特別事情による仮処分取消の申立は、仮処分申請事件の口頭弁論において、抗弁としてなすこともできる。 二 仮処分によつて保全せらるべき権利が金銭的補償によつてその終局の目的を達し得るかどうかは、本案訴訟における請求の内容および当該仮処分の目的等諸般の状況に照らし、社会通念に従い客観的に考察し判断すべきも…