労働組合の組合員が、除名されたときは解雇するとの労働協約に基き解雇された後は、解雇失業という著しい損害を避けるためには、使用者を相手方として解雇処分の効力停止の仮処分申請をすべきであつて、組合を相手として組合員除名処分の効力停止を求める仮処分申請をすべきではない。
組合除名による解雇と解雇失業による損害を避けるための仮処分申請
民訴法760条
判旨
労働組合による除名処分の効力を停止する仮処分は、当事者間でのみ効力を有し、第三者である使用者の解雇権行使やその取消しを直接的に左右するものではない。除名に伴う解雇を争うには、使用者を相手方として解雇処分自体の効力停止を求めるべきである。
問題の所在(論点)
労働組合による除名処分の効力を停止する仮処分が、組合員と組合という当事者間を超えて、第三者である使用者による解雇処分の効力や判断に直接的な影響を及ぼすか。また、除名に基づく解雇を争う手段として適切か。
規範
除名処分の効力停止を求める仮処分は、あくまで当該処分に関する争いについて、一応の疎明に基づき当事者間において一時的にその効力を停止させるものにすぎない。したがって、この仮処分は特段の事情がない限り、第三者に対して当然にその法的効力を及ぼすものではなく、使用者が除名に基づいて行った解雇処分の効力やその後の判断を直接拘束する理由とはならない。
重要事実
上告人らは、所属していた労働組合から除名処分を受けた。これに基づき、勤務先である名古屋市交通局から解雇処分を受けた。上告人らは、労働組合を相手方として、除名処分の効力を一時停止する仮処分を申し立てたが、原審は仮処分の理由がないとしてこれを認めなかった。上告人らは、除名が無効であれば解雇も取り消されるべきであり、そのために本件仮処分が必要であると主張して上告した。
あてはめ
本件仮処分は除名処分が無効であることを終局的に確定するものではなく、一応の疎明によって一時的に効力を停止するにすぎない。この効果は当事者間(組合と組合員)に限定されるものであり、第三者である名古屋市交通局を法的に拘束するものではない。同局が解雇を継続するか取り消すかは、局独自の判断に委ねられる。上告人らが解雇の効力を争いたいのであれば、本件仮処分を基礎とするのではなく、直接名古屋市を相手方として解雇処分の効力停止仮処分を申し立てるべきであったといえる。
結論
除名処分停止の仮処分は使用者を拘束せず、解雇の効力に直接影響しない。本件仮処分を認めなかった原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
ユニオン・ショップ制下での除名と解雇の関係が問題となる事案において、組合に対する争訟と使用者に対する争訟を峻別する視点を提供する。答案上は、除名の効力自体を争う必要性と、解雇という地位喪失を阻止する必要性を区別し、保全処分の相手方選択(被申立人の適格)を論じる際に活用できる。
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