一 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条の「調整」とは、同法所定の斡旋員または労働委員会によつてなされる正規の斡旋、調停、仲裁による調整を指すものと解すべきである。 二 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条により労働者の解雇または不利益取扱いについて労働委員会の同意を要するのは、正規の調整の行われている場合にかぎると解すべきである。 三 単一労働組合が解散消滅した以上、その単一組合の一構成分子にすぎない支部と使用者間の団体協約も、特段の事情のないかぎり、効力を失うものと認めるのを相当とする。 四 労働組合消滅後は、団体協約中の解雇承認条項も効力を失うものと解すべきである。 五 「会社は正当な争議行為中の支部員の部署を他の如何なる者を以てしても代置することが出来ない。」と定めてある団体協約失効後、組合員外の者の作業を妨害することは、違法な争議行為である。 六 労働基準法第一〇六条第一項所定の就業規則の周知方法を欠いても、右就業規則の効力を否定することはできない。 七 就業規則違反の行為が平和時でなく、争議行為時に生じたものであつても、違法な争議行為を理由に就業規則を適用し解雇する妨げとなるものではない。
一 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条の「調整」の意義 二 旧労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号)第四〇条により労働者を解雇するについて労働委員会の同意を要する場合 三 単一労働組合の解散とその一構成分子である支部、使用者間の団体協約の効力 四 労働組合解散後の団体協約中解雇承認条項のいわゆる予後効の問題 五 違法な争議行為の一事例。 六 労働基準法第一〇六条違反と就業規則の効力。 七 違法な争議行為を理由に就業規則により労働者を解雇することの当否。
旧労働関係調整法(昭和21年法律25号)40条,旧労働組合法(昭和20年法律51号)21条,旧労働組合法(昭和20年法律51号)11条,労働基準法106条,労働基準法89条
判旨
同盟罷業の本質は、労務供給義務の不履行により使用者に労働力を利用させないことにある。したがって、使用者の対抗的な業務遂行に対し、暴行・脅迫を用いて妨害する行為は、正当な争議行為の範囲を逸脱し違法である。
問題の所在(論点)
使用者が自ら業務を継続しようとする「スト破り」に対し、労働者がスクラム等の実力行使をもってこれを阻止する行為が、憲法28条及び労組法上の正当な争議行為として保護されるか。
規範
同盟罷業の本質は、労働者が団結してその労働力を使用者に利用させないことにあり、手段・方法はこれに限定されるべきである。したがって、使用者側が対抗手段として自ら業務を遂行しようとする際、これに対し暴行・脅迫をもって妨害する行為は、同盟罷業の本質及び手段・方法を逸脱したものであり、正当な争議行為とは解されない。
重要事実
新聞社の労働組合員らが印刷局での罷業中、非組合員である部長らが新聞発行のために版組作業を開始しようとした際、約30名でスクラムを組んで十数分間円周運動を行い、作業員を大組台から無理に引き出すなどの暴行を加え、作業の継続を断念させた。この妨害行為により新聞発行が大幅に遅れ、会社に多大な損害が生じた。
あてはめ
本件行為は、単なる職場占拠にとどまらず、非組合員による業務遂行を暴行・脅迫によって妨害したものである。罷業の本質は労務供給の拒否にあるが、本件は「使用者に労働力を利用させない」という範囲を逸脱し、使用者の正当な対抗業務を実力で排除している。したがって、切り崩しへの恐れ等の事情があっても、暴行を伴う妨害行為は正当化されず、違法な争議行為と評価される。
結論
本件妨害行為は正当な争議行為にあたらず、これを理由とする解雇は有効である。
実務上の射程
争議行為の正当性の限界を「労務供給の拒否」という本質から画した重要判例である。答案上は、ピケッティングや職場占拠が実力による業務妨害に至った場合の違法性判断基準として活用する。また、就業規則の周知義務違反が直ちに規則の効力を否定しないとする点も併せて引用可能である。
事件番号: 昭和26(ク)114 / 裁判年月日: 昭和27年4月2日 / 結論: その他
一 報道機関が、その従業員を共産党員またはその支持者たることを理由として解雇した場合には、その解雇は、昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官より内閣総理大臣あて書簡による指示に従つたものとして有効である。 二 報道機関が、その従業員を、共産党員またはその支持者たることを理由として解雇した場合には、その解雇の効力に関する…