労働組合は、組合員である労働者が使用者に対し有する労働契約上の権利について、労働組合の名において訴訟を追行する権能を有しない。
労働組合の当事者適格。
民訴法45条
判旨
労働組合は、組合員が使用者に対して有する労働契約上の権利について、自らの名において訴訟を追行する権能を有しない。
問題の所在(論点)
労働組合が、組合員個人の労働契約上の権利(従業員たる地位)について、自己の名において訴訟(仮処分申立て)を提起する当事者適格を有するか。
規範
労働組合は、その目的が組合員の労働条件の維持改善にあるとしても、組合員個人の有する私法上の権利(労働契約上の地位等)について、法律上の定めがない限り、自己の名で訴訟を追行する資格(任意的訴訟担当の権能)を有しない。
重要事実
上告人である労働組合は、被上告会社によって解雇された組合員3名について、これら組合員が従業員たる地位を有することの仮の地位を定める仮処分の申立てを行った。上告人は、労働組合の本質として組合員の労働契約上の権利を保護伸長する独自の権利を有すると主張し、当事者適格を争った。
あてはめ
事件番号: 昭和35(テ)28 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
組合財産の処分が業務執行としてなされる場合、組合員の過半数を以て決せられるのを原則とすることは民法第六七〇条の明定するところであるから、組合契約上別段の定めがないかぎり、組合員はかかる業務執行を当然のこととして組合契約をしたものとすべく、過半数の決議によつて所有者の意思に反し財産権を奪うことを前提として憲法第二九条違反…
上告人(組合)は、組合員が使用者に対して有する労働契約上の権利について、組合独自の本質的権利として自己の名でこれを行使し得ると主張する。しかし、労働契約上の権利の主体はあくまで労働者個人であり、組合はその管理処分権を当然に有するものではない。したがって、組合が当然にこれら権利について訴訟追行権能を有すると解する根拠はなく、正当な当事者としての適格を欠くといえる。
結論
上告人たる労働組合に当事者適格はないため、本件訴え(申立て)は不適法として棄却される。
実務上の射程
任意的訴訟担当が制限される原則を労働組合の文脈で示した判例である。現行法上、労働組合法に基づく不当労働行為の救済申立て等は別として、個人の私法上の権利に関する民事訴訟においては、組合員からの授権があっても弁護士法72条等との関係で厳格に解される点に注意が必要である。
事件番号: 昭和26(オ)195 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮処分が認められるためには、仮処分債権者が本案の請求として仮処分債務者に対し要求し執行できる範囲内の事項であることを要し、土地賃借権に基づき賃貸人に対して土地の処分禁止を求めることはできない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、本件土地の賃借権を有していたが、当該土地が売却されることにより自己…