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団体交渉義務を確認した会社と労働組合間の裁判上の和解が憲法二八条に違反するとの主張が特別上告理由にあたらないとされた事例
憲法28条,民訴法409条ノ2
判旨
憲法28条は労働基本権を保障する規定であり、使用者が労働組合との合意により私法上の義務として団体交渉義務を負担することは、同条の保障内容とは直接関係のない私法上の合意の問題である。
問題の所在(論点)
使用者が労働組合との合意によって私法上の団体交渉義務を負担することが、憲法28条の保障する労働基本権の趣旨に照らして憲法問題となり得るか。
規範
憲法28条は、勤労者に対し団結権、団体交渉権、争議権等の労働基本権を保障した規定である。これに対し、使用者が労働組合との間の合意(労働協約等)に基づき、私法上の義務として団体交渉義務を負担し、またはこれを確認することは、同条の憲法上の保障とは別次元の、私法上の義務に関する問題である。
重要事実
上告人(使用者)が労働組合との合意に基づき、私法上の義務として団体交渉義務を負担すること、あるいはその義務を確認することについて、憲法28条に違反するとの主張(特別上告)がなされた事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和57(テ)11 / 裁判年月日: 昭和57年5月27日 / 結論: 棄却
民訴法四〇九条ノ二の規定及び民訴規則五九条によつて特別上告事件の訴訟手続に準用される民訴規則四六条ないし四九条の規定は、憲法三二条に違反しない。
憲法28条は勤労者の権利を保障するものであり、使用者が自発的に、あるいは組合との合意(私的自治)によって団体交渉義務を負うことは、同条が規律する労働基本権の保障の枠外にある。したがって、私法上の義務として団体交渉義務を確認することは、憲法28条の適用の是非を論じる前提を欠くものである。
結論
憲法28条とは無関係の問題であり、私法上の団体交渉義務の負担は合憲・違憲の判断対象とはならない。
実務上の射程
労働協約等に基づく私法上の団体交渉義務の存否を争う事案において、憲法違反を理由とした上告は認められないことを示す。また、憲法28条の直接の効力範囲を勤労者の権利保障に限定し、私法的合意による義務負担とは峻別する実務的な基準となる。
事件番号: 昭和35(テ)28 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
組合財産の処分が業務執行としてなされる場合、組合員の過半数を以て決せられるのを原則とすることは民法第六七〇条の明定するところであるから、組合契約上別段の定めがないかぎり、組合員はかかる業務執行を当然のこととして組合契約をしたものとすべく、過半数の決議によつて所有者の意思に反し財産権を奪うことを前提として憲法第二九条違反…
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…