組合財産の処分が業務執行としてなされる場合、組合員の過半数を以て決せられるのを原則とすることは民法第六七〇条の明定するところであるから、組合契約上別段の定めがないかぎり、組合員はかかる業務執行を当然のこととして組合契約をしたものとすべく、過半数の決議によつて所有者の意思に反し財産権を奪うことを前提として憲法第二九条違反をいうのは前提を欠く。
組合員の過半数の決議による組合財産の処分と憲法第二九条
民法670条,憲法29条
判旨
民法上の組合の業務執行は、組合契約に別段の定めがない限り、組合員の過半数で決せられる(民法670条)。自らの意思で組合契約を締結した以上、過半数の決議に拘束されることは当然であり、個別の組合員の意思に反して財産権を侵害するものとはいえない。
問題の所在(論点)
民法上の組合財産の管理処分について、組合員の過半数による決議で決定することが、反対する組合員の個別の意思を無視して財産権を侵害することになるか。民法670条の規定と私的自治の原則の帰結が問われた。
規範
組合の業務執行は、組合契約において別段の定めがない限り、組合員の過半数をもって決定する(民法670条1項)。組合員は、自らの意思に基づき組合契約を締結した以上、過半数による業務執行の決定に拘束されることを当然の前提としているものと解される。
重要事実
上告人および被上告人を構成員とする民法上の組合「D協和会」において、組合員間の合意に基づき本件土地建物を組合財産としていた。その後、組合員の過半数による決議によって、当該土地建物の管理処分に関する事項が決定された。これに対し上告人は、自らの同意なく管理処分が決定されることは、共有持分権を奪うものであり憲法13条、29条に違反すると主張して争った。
あてはめ
本件において、組合員は自らの意思で「D協和会」の組合契約を締結している。民法670条が業務執行について過半数決を原則としている以上、組合契約に特段の合意がない限り、各組合員は過半数の決議に従うことをあらかじめ承諾していたといえる。したがって、過半数決によって管理処分の方針が定まることは、当該組合員の意思に基づいた契約の効力そのものであり、一方的に財産権を剥奪するものとは評価できない。
結論
組合財産の管理処分を過半数決で定めることは、組合契約に基づく正当な業務執行であり、憲法および民法の原則に反しない。上告人は過半数決の拘束力を受ける。
実務上の射程
組合財産の処分・管理が民法670条の「業務」に含まれることを前提に、合有的な制約を肯定する判例である。答案上は、組合員の共有持分権が組合の目的による拘束(過半数決)を受ける根拠を、組合契約という私的自治に求める文脈で使用する。ただし、現在は民法670条の改正により、清算手続や重要な財産の処分に関する要件が条文上具体化されている点に留意が必要である。
事件番号: 昭和52(テ)18 / 裁判年月日: 昭和53年3月10日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和33(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、81条の規定を除き、審級制度を立法政策に委ねており、上告理由を制限する民訴法の規定は憲法32条に違反しない。また、判決原本への署名捺印が転補前になされていれば、判決手続きは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、民事訴訟法393条3項(旧法)が憲法32条に違反すると主張した。また、原審の…
事件番号: 昭和34(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる法令違背や事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判決に対して憲法違反を理由として特別上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原審の事実認定が法令に違反していることや、事実認定そのも…