判旨
証拠の取捨選択及び事実の認定は専ら事実審裁判所の権限に属し、経験則違背等の法令違反がない限り、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実審裁判所が行った証拠の取捨選択および事実認定の妥当性を争うことが、民事訴訟法上の適法な上告理由となり得るか(事実認定の専権性とその限界)。
規範
証拠の取捨判断及び事実の認定は専ら事実審裁判所の権限に属する事項である。したがって、当該認定過程において経験則違背その他の法令違反(自由心証主義の限界逸脱等)が認められない限り、事実認定に関する非難は適法な上告理由には当たらない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)が行った証拠の取捨選択および事実認定に誤りがあるとして、これを法令違反であると主張して上告を提起した。具体的な認定事案の内容については、提出された判決文からは不明である。
あてはめ
本件において、上告人が主張する理由は、結局のところ原審の証拠取捨および事実認定を非難するものである。一件記録に照らしても、原審の判断過程に経験則違背やその他の法令違反となるような違法な点は認められない。したがって、専ら事実審の権限に属する事項を争うものといえる。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
事実認定の専権を再確認した判例であり、実務上、上告審で事実関係を争うためには、単なる不当性の主張ではなく「経験則違背」や「論理法則違反」といった具体的な法令違反を構成する必要があることを示唆している。答案上は、事実認定の違法性を論じる際の前提として活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)265 / 裁判年月日: 昭和27年4月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮処分取消の「特別の事情」の有無に関する原審の認定判断について、憲法違反をいう主張が実質的に申請の正当性を強調するにとどまり、認定を否定するに足りない場合、上告は棄却される。原審が疎明ありとした特別の事情の存在を争う主張は、民事上告審判特例法上の重要な主張には当たらない。 第1 事案の概要:上告人…
事件番号: 昭和34(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる法令違背や事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判決に対して憲法違反を理由として特別上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原審の事実認定が法令に違反していることや、事実認定そのも…