口頭弁論期日の調書に「控訴代理人何某出頭」と記載してある以上、同人が右期日に出頭したものと認める外はない。
訴訟代理人の出頭不出頭に関する口頭弁論調書の記載の効力
民訴法143条,民訴法147条
判旨
訴訟委任状の記載に多少の不備や特異な表現があったとしても、その記載内容から特定の控訴事件に関する一切の行為を委任する趣旨が客観的に認められる場合には、適法な代理権の授与があったものと認められる。また、口頭弁論終結後の弁論再開申請は、裁判所の職権に属する事項であり、必ずしもこれに応じる義務はない。
問題の所在(論点)
1. 「不動産仮処分控訴事件」等の表現が含まれる委任状に基づき、本件訴訟の代理権を認めることができるか。 2. 弁論終結後の弁論再開申請に対し、裁判所が弁論を再開しなかった措置に違法があるか。
規範
1. 訴訟代理権の存否は、提出された委任状の記載内容を合理的に解釈し、委任の範囲および対象事件が特定されているか否かによって判断する。 2. 弁論の再開(民事訴訟法153条参照)は裁判所の裁量に属し、当事者の申請があったとしても、特段の事情がない限り、裁判所が当然に弁論を再開すべき義務を負うものではない。
重要事実
控訴審において、被控訴代理人の出頭が争われるとともに、被上告人等9名から提出された弁護士に対する訴訟委任状の有効性が争われた。当該委任状には「拙者よりA氏に係る不動産仮処分控訴事件に関する一切の行為」との記載があり、委任者の記名押印もなされていた。さらに、控訴審判決に際し、口頭弁論終結後に当事者から弁論再開の申請がなされたが、原審はこれを採用せずに判決を言い渡したため、これらの措置の違法性が上告理由として主張された。
あてはめ
1. 本件委任状には、特定の人物に係る不動産仮処分に関連する控訴事件についての一切の行為を委任する旨が記載され、委任者の記名押印も認められる。このような記載は、本件控訴事件における訴訟委任状として合理的に解釈可能であり、代理権の欠缺はない。 2. 弁論調書上、代理人の出頭が記録されている以上、出頭の事実は否定できない。 3. 弁論再開については、職権行使の範疇であり、申請があったからといって原審がこれに応じる法的義務を負うものではないため、再開しなかった判断に違法は認められない。
結論
本件委任状に基づく代理権の認定に違法はなく、また弁論を再開しなかった原審の措置も適法であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟代理権の証明資料としての委任状の解釈の柔軟性を示すとともに、弁論再開申請に対する裁判所の広範な裁量を改めて確認したもの。答案上は、代理権の存否が争点となる場合の事実認定の在り方や、弁論の再開を求める申立てが法的義務を伴わないことを論証する際の根拠として利用できる。
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