判旨
上告審において新たに主張された事項は、原審で主張されていない限り、適法な上告理由として採用することはできない。
問題の所在(論点)
原審で主張しなかった新たな事実や法的見解を、上告理由として主張することができるか(上告審における新主張の可否)。
規範
民事訴訟における上告審は事後審としての性格を有するため、原審において主張されなかった事実や法的主張を新たに提出し、これを上告理由とすることは認められない。
重要事実
上告人は、本件の上告に際して複数の上告理由を提出したが、それらの内容は、いずれも原審(二審)までの手続において一度も主張されていなかった事項であった。
あてはめ
上告人が提出した上告理由は、いずれも原審において主張されていないものである。上告審の構造上、原判決の当否は原審に現れた資料に基づいて判断されるべきであり、原審で提出されなかった事項に基づく不服申立ては、適法な上告理由としての要件を欠くといえる。
結論
本件上告は理由がないものとして棄却される。
実務上の射程
上告審の事後審構造を端的に示す判例である。答案上は、当事者が控訴審までに主張しなかった事実を上告審で争おうとした場合に、その主張の遮断(失当)を根拠づける際に活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)406 / 裁判年月日: 昭和35年8月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮処分の必要性に関する原審の判断が正当である場合には、その余の論点について判断することなく上告を棄却することができる。 第1 事案の概要:上告人は本件仮処分命令の決定に対し、保全の必要性等の欠如を理由に上告を申し立てた。原判決は本件仮処分の必要性を肯定する判断を示していた。 第2 問題の所在(論点…