判旨
上告理由が原審の証拠取捨や事実認定を非難するにすぎない場合、または原審の認定に基づかない独自の仮定を前提とするものである場合は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
民事訴訟における適法な上告理由の範囲。特に、事実認定の当否や原審の認定に反する前提に基づく主張が、適法な上告理由として認められるか。
規範
民事訴訟法上の適法な上告理由(同法312条等参照)となるためには、判決に影響を及ぼす憲法違反や重大な訴訟手続の違反、法令解釈の誤り等を具体的に示す必要があり、単なる事実認定の不当性や独自の見解に基づく主張は排斥される。
重要事実
上告人が、原審における証拠の取捨選択および事実認定のプロセスを不当として非難し、かつ、原審が判示した事実とは異なる独自の事実関係を想定した上で、それを前提に原審判決の不当性を主張して上告を提起した事案。
あてはめ
上告人の主張は、原審の適法な証拠取捨や事実認定を非難するものに帰しており、また、原審の判示内容に副わない独自の事項を想定してこれを前提とするものである。このような主張は、上告裁判所が審理すべき法的な瑕疵を指摘するものとはいえず、実質的に事後審の審理範囲を逸脱していると評価される。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くものとして棄却される。
実務上の射程
本判決は、民事訴訟における事実認定が専ら下級審の専権に属することを再確認するものである。答案作成上は、上告理由の適格性を検討する際、単なる「事実誤認」の主張が原則として許されないことを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(オ)330 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】仮処分決定に対する異議申立てにおいて、申立人が「特別の事情」に基づく取消しを求める意思を明確に示していない限り、単にその原因となるべき事情を言及したのみでは、裁判所は取消しの要否を判断する義務を負わない。 第1 事案の概要:被上告人(債権者)が上告人(債務者)に対し、不動産処分禁止の仮処分を執行し…
事件番号: 昭和34(テ)7 / 裁判年月日: 昭和35年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別上告において違憲を主張していても、その実質が単なる法令違背や事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審の判決に対して憲法違反を理由として特別上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原審の事実認定が法令に違反していることや、事実認定そのも…