判旨
荷渡指図書の作成者に関する事実認定に不服がある場合であっても、それが原審において適法に認定されている限り、上告審において異なる事実を前提とした理由不備等の主張は認められない。
問題の所在(論点)
原審が認定した「文書の作成者(発行者)」という事実関係と異なる前提に基づき、判決に理由不備等の違法がある旨を主張することが上告理由として適法か。
規範
上告審は法律審であり、原判決が適法に確定した事実はこれを拘束する。したがって、原審の事実認定を否定し、これと異なる事実関係を前提として理由不備や理由の齟齬を主張することは、上告理由として認められない。
重要事実
上告人は、本件荷渡指図書が被上告人によって発行されたものであると主張したが、原判決(控訴審)は、当該指図書は被上告人が発行したものではないと認定した。上告人は、この事実認定に不服を抱き、理由不備または理由の齟齬があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、原判決は「本件荷渡指図書は被上告人の発行したものではない」との事実を認定している。上告人の主張は、この原審の事実認定を正面から否定し、これと異なる事実(被上告人が発行したという事実)を前提とするものである。このような主張は、上告審の性質に反し、民事訴訟法上の適法な上告理由(理由不備・齟齬)にはあたらない。
結論
本件荷渡指図書が被上告人の発行したものではないとした原判決の事実に反する主張は採用できず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、事実認定の違法を理由不備として構成しようとする主張に対する上告審の定型的な判断を示すものである。実務上、事実誤認を理由不備等の法的瑕疵にすり替えて主張することの限界を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和27(オ)901 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が判例違反に当たらず、単なる事実誤認や訴訟法違背の主張にとどまる場合は、上告棄却の対象となる。特例法に基づく重要な法令解釈の主張も含まれない場合には、上告を維持することはできない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の判断に対し、判例違反および訴訟法違背、事実誤認を理由…
事件番号: 昭和28(オ)1013 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、原審における証拠の採否や事実認定を非難するにすぎない主張は、上告の適法な理由(上告受理の要件)に該当しない。 第1 事案の概要:上告人が、原審における裁判所の証拠の取り捨てや、それに基づく事実認定を不当として争い、最高裁判所に対し上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):…