判旨
大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の規定により、東京高等裁判所が「不服の申立てある判決をした裁判所」に当たると解される。
問題の所在(論点)
大審院の確定判決に対する再審の訴えの管轄権は、最高裁判所と東京高等裁判所のいずれに存するか。特に裁判所法施行令1条の「その他の手続」の解釈が問題となる。
規範
再審の訴えは、不服の申立てがある判決をした裁判所の専属管轄に属する(民事訴訟法422条1項)。裁判所法施行令1条にいう「大審院においてした事件の受理その他の手続」には、大審院が行った判決言渡し手続及び言い渡された判決自体も含まれると解するのが相当である。
重要事実
本件は、大審院が昭和21年12月28日に言い渡した約束手形金請求事件の確定判決に対し、再審の訴えが提起された事案である。大審院廃止後の新憲法下において、当該再審の訴えを最高裁判所と東京高等裁判所のいずれが管轄すべきかが問題となった。
あてはめ
民事訴訟法上、再審の訴えは原判決をした裁判所が管轄する。本件の対象は大審院の判決であるが、裁判所法施行令1条は、大審院における手続を東京高等裁判所の手続とみなすと規定している。この「手続」には判決の言渡しや判決そのものも含まれるため、法律上、東京高等裁判所が大審院の判決をした裁判所としての地位を承継しているといえる。
結論
本件再審の訴えの管轄権は東京高等裁判所にあり、最高裁判所は管轄権を有しないため、東京高等裁判所に移送すべきである。
実務上の射程
戦前の大審院判決に対する再審という特殊な事案に関する判断であるが、旧法下の公権的判断の効力を新法下のどの機関が承継するかという制度的な連続性を解釈する際の指針となる。
事件番号: 昭和24(ヤ)1 / 裁判年月日: 昭和24年7月6日 / 結論: その他
一 裁判所法施行前大審院が言渡した判決に対し、同法施行後提起された再審の訴を管轄する裁判所は、東京高等裁判所である。 二 裁判所法施行前大審院が言渡した判決に対し同法施行後、再審の訴が最高裁判所に提起されたときは、最高裁判所は、これを管轄権ある東京高等裁判所に移送すべきである。
事件番号: 昭和29(オ)747 / 裁判年月日: 昭和29年9月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告状が管轄違いの裁判所に提出された場合であっても、直ちに却下すべきではなく、民事訴訟法の規定に基づき、適法な受訴裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、東京地方裁判所が言い渡した約束手形金請求事件の控訴審判決に対し、不服を申し立てるため、昭和29年8月4日に最高裁判所へ直接上告状…
事件番号: 昭和25(ク)145 / 裁判年月日: 昭和26年2月14日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当し、憲法違反を理由とする場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件の抗告理由は、原決定が憲法に…