一 裁判所法施行前大審院が言渡した判決に対し、同法施行後提起された再審の訴を管轄する裁判所は、東京高等裁判所である。 二 裁判所法施行前大審院が言渡した判決に対し同法施行後、再審の訴が最高裁判所に提起されたときは、最高裁判所は、これを管轄権ある東京高等裁判所に移送すべきである。
一 裁判所法施行前大審院が言い渡した判決に対する再審の訴の管轄裁判所 二 最高裁判所に対し裁判所法施行前大審院が言い渡した判決に対し再審の訴があつたときの処置
裁判所法施行法2条,裁判所法施行令1条,民訴法422条,民訴法30条
判旨
大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行法及び同法施行令に基づき、東京高等裁判所が「不服の申立てある判決をした裁判所」として専属管轄を有する。
問題の所在(論点)
大審院の確定判決に対する再審の訴えにおいて、旧民事訴訟法422条1項(現340条1項)にいう「不服の申立てある判決をした裁判所」は、大審院廃止後の現行制度下においてどの裁判所を指すか。
規範
再審の訴えは、原則として不服の申立てがある判決をした裁判所の専属管轄に属する(民事訴訟法340条1項、旧422条1項)。また、裁判所法施行法2条に基づく裁判所法施行令1条に規定される「大審院においてした事件の受理その他の手続」には、大審院による判決言渡し手続及び言渡された判決自体も含まれると解する。
重要事実
当事者間の契約金請求事件について、昭和19年4月6日に当時の最高司法機関である大審院が確定判決を言い渡した。その後、当該大審院判決に対し再審の訴えが提起されたが、新憲法下の裁判制度への移行に伴い、どの裁判所が管轄権を有するかが問題となった。
事件番号: 昭和26(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和27年2月1日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の規定により、東京高等裁判所が「不服の申立てある判決をした裁判所」に当たると解される。 第1 事案の概要:本件は、大審院が昭和21年12月28日に言い渡した約束手形金請求事件の確定判決に対し、再審の訴えが提起された事案である。大審院廃…
あてはめ
本件再審の対象は、大審院が言い渡した確定判決である。裁判所法施行令1条は、大審院における手続を東京高等裁判所における手続とみなすと規定しており、この「手続」には判決の言渡し及びその判決そのものも含まれる。したがって、大審院がした判決は東京高等裁判所がしたものとみなされるため、同裁判所が「不服の申立てある判決をした裁判所」に該当するといえる。
結論
大審院の確定判決に対する再審の訴えの管轄権は東京高等裁判所にあり、最高裁判所は管轄権を有しないため、本件を東京高等裁判所に移送する。
実務上の射程
戦前の大審院判決に対する再審請求という限定的な場面に関する判断であるが、旧制度下の手続を現行制度に引き継ぐ際の「その他の手続」の解釈指針として、判決そのものの効力承継を肯定した点に意義がある。答案上は、管轄の基礎となる判決の主体の承継に関する特殊な準拠規定の解釈例として参照し得る。
事件番号: 昭和25(ヤ)2 / 裁判年月日: 昭和25年6月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えは、裁判所法施行法に基づく承継の規定により、東京高等裁判所の専属管轄に属する。最高裁判所は大審院がした判決言渡し等の手続を承継する裁判所ではないため、管轄権を有しない。 第1 事案の概要:本件は、昭和22年4月15日に大審院が言い渡した「麻加工製作禁止並損害賠償請…
事件番号: 昭和26(マ)1 / 裁判年月日: 昭和26年9月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の「その他の手続」に判決の言渡し等も含まれるため、東京高等裁判所が管轄権を有する。 第1 事案の概要:当事者間の所有権移転登記手続請求事件について、大審院が昭和21年1月15日に確定判決を言い渡した。その後、大審院が廃止され、裁判所法…
事件番号: 昭和32(き)5 / 裁判年月日: 昭和32年9月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院のした判決に対する再審の請求は、最高裁判所ではなく東京高等裁判所が管轄すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、かつての大審院において下された判決に対し、再審の請求を最高裁判所に対して申し立てた。これに対し、最高裁判所が自ら審理すべきか、あるいは下級裁判所に移送すべきかが問題となった。 第…
事件番号: 昭和23(ね)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月25日 / 結論: その他
一 最高裁判所に対し右再審の請求があつたときは、最高裁判所は、これを管轄権ある裁判所に移送すべきである。 二 裁判所法施行法第二條に基く裁判所法施行令第一條第一項にいわゆる「その他の手続」といううちには、大審院でした事實審理の公判手続を含むことは勿論その手続によりなした判決言渡手続及び言渡された判決をも含むものと解すべ…