判旨
大審院の確定判決に対する再審の訴えは、裁判所法施行法に基づく承継の規定により、東京高等裁判所の専属管轄に属する。最高裁判所は大審院がした判決言渡し等の手続を承継する裁判所ではないため、管轄権を有しない。
問題の所在(論点)
大審院の確定判決に対する再審の訴えにつき、民事訴訟法上の専属管轄(不服の申立てがある判決をした裁判所)はどの裁判所に認められるか。裁判所法施行法に基づく承継規定の解釈が問題となる。
規範
民事訴訟法第422条第1項(旧法下でも同様)の規定により、再審の訴えは不服の申立てがある判決をした裁判所の専属管轄に属する。大審院が廃止された後の新制度下においては、裁判所法施行法第2条及び裁判所法施行令第1条の規定に基づき、大審院においてした「事件の受理その他の手続」を東京高等裁判所においてしたものとみなす。この「その他の手続」には、判決言渡し手続及び言渡された判決自体も含まれる。
重要事実
本件は、昭和22年4月15日に大審院が言い渡した「麻加工製作禁止並損害賠償請求事件」の確定判決に対し、再審の訴えが提起された事案である。大審院は既に廃止され、現行の裁判所法に基づく裁判体系へ移行していたため、どの裁判所が「不服の申立てがある判決をした裁判所」としての管轄権を有するか、あるいは最高裁判所がこれを承継するかが問題となった。
あてはめ
民事訴訟法第422条第1項によれば、再審は不服のある判決をした裁判所、すなわち本件では大審院の専属管轄である。しかし、裁判所法施行法第2条に基づく法施行令第1条は、大審院の手続を東京高等裁判所によるものとみなすと規定している。この「手続」には、判決の言渡しや判決そのものも含まれると解されるため、大審院がした判決は東京高等裁判所がしたものと法律上みなされる。したがって、東京高等裁判所が「不服の申立てがある判決をした裁判所」に該当し、最高裁判所が管轄権を持つ余地はない。
結論
本件再審の訴えの管轄権は東京高等裁判所にあり、最高裁判所は管轄権を有しないため、本件を東京高等裁判所に移送する。
事件番号: 昭和32(き)5 / 裁判年月日: 昭和32年9月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院のした判決に対する再審の請求は、最高裁判所ではなく東京高等裁判所が管轄すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、かつての大審院において下された判決に対し、再審の請求を最高裁判所に対して申し立てた。これに対し、最高裁判所が自ら審理すべきか、あるいは下級裁判所に移送すべきかが問題となった。 第…
実務上の射程
旧憲法下の大審院判決に対する再審という特殊な状況における管轄権の所在を明確にした判例である。現行法下での上級審の判決に対する再審については、判決をした各裁判所が管轄することに変わりはないが、制度移行期における手続の承継の範囲を「判決そのもの」まで広げて解釈した点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和24(ヤ)1 / 裁判年月日: 昭和24年7月6日 / 結論: その他
一 裁判所法施行前大審院が言渡した判決に対し、同法施行後提起された再審の訴を管轄する裁判所は、東京高等裁判所である。 二 裁判所法施行前大審院が言渡した判決に対し同法施行後、再審の訴が最高裁判所に提起されたときは、最高裁判所は、これを管轄権ある東京高等裁判所に移送すべきである。
事件番号: 昭和26(マ)1 / 裁判年月日: 昭和26年9月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の「その他の手続」に判決の言渡し等も含まれるため、東京高等裁判所が管轄権を有する。 第1 事案の概要:当事者間の所有権移転登記手続請求事件について、大審院が昭和21年1月15日に確定判決を言い渡した。その後、大審院が廃止され、裁判所法…
事件番号: 昭和26(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和27年2月1日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の規定により、東京高等裁判所が「不服の申立てある判決をした裁判所」に当たると解される。 第1 事案の概要:本件は、大審院が昭和21年12月28日に言い渡した約束手形金請求事件の確定判決に対し、再審の訴えが提起された事案である。大審院廃…