判旨
大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の「その他の手続」に判決の言渡し等も含まれるため、東京高等裁判所が管轄権を有する。
問題の所在(論点)
大審院の確定判決に対して再審の訴えを提起する場合、民事訴訟法422条1項にいう「不服の申立てある判決をした裁判所」は、大審院廃止後の現在においてどの裁判所になるか。
規範
民事訴訟法422条1項の「不服の申立てある判決をした裁判所」に関し、廃止された大審院の判決については、裁判所法施行令1条の「その他の手続」に判決言渡手続及び言い渡された判決も含まれると解し、東京高等裁判所を専属管轄裁判所とする。
重要事実
当事者間の所有権移転登記手続請求事件について、大審院が昭和21年1月15日に確定判決を言い渡した。その後、大審院が廃止され、裁判所法及び同施行法が施行された状況下で、当該確定判決に対する再審の訴えが提起された。
あてはめ
裁判所法施行法2条に基づく裁判所法施行令1条は、大審院における事件の受理その他の手続を東京高等裁判所におけるものとみなすと規定する。この「その他の手続」には判決の言渡しや判決自体も含まれると解される。したがって、本件で不服の対象となった大審院判決は、東京高等裁判所がしたものとみなされる。
結論
本件再審の訴えの管轄権は東京高等裁判所にあり、最高裁判所は管轄権を有しないため、同裁判所に移送すべきである。
実務上の射程
旧法下の最高裁(大審院)判決に対する再審事案という特殊な場面に関する判断であるが、裁判所の廃止・承継に伴う管轄権の所在を、施行令の解釈を通じて明確化した点に意義がある。司法試験上は、専属管轄の原則(民訴法422条)の例外的な処理事例として位置付けられる。
事件番号: 昭和27(ヤ)1 / 裁判年月日: 昭和29年3月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】再審の訴えの管轄について、上告審判決が事実認定を非難する論旨を上告理由に当たらないとして上告を棄却したに過ぎない場合、再審の訴えは、不服の申し立てがある判決をした裁判所である控訴審裁判所の専属管轄に属する。 第1 事案の概要:再審請求人は、控訴審判決において証拠となった証人及び被控訴人の陳述が虚偽…
事件番号: 昭和32(ヤ)25 / 裁判年月日: 昭和34年4月23日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】上告裁判所は不服申立ての限度でのみ調査義務を負うため、上告理由として主張されていない事項や、適法な期間経過後に提出された補充書記載の事項について判断を示さなくとも、判決に影響を及ぼすべき重要な事項の判断遺脱(民事訴訟法第338条1項9号)には当たらない。 第1 事案の概要:再審原告は、前審の上告判…
事件番号: 昭和34(オ)992 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が原判決の判断を正当として是認し、大審院判例と同趣旨であると解される場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が、原判決の判断に不服があるとして上告を提起した事案。上告理由は二点あり、第一点は独自の見解に基づく主張、第二点は大審院判例(民集12巻375頁)との抵触を主張する…
事件番号: 昭和32(ヤ)7 / 裁判年月日: 昭和32年12月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、主張される事実が民事訴訟法(旧法)420条1項所定の再審事由のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、別紙記載(本判決文上は省略)の事由を根拠として再審の訴えを提起した。再審原告が主張した…
事件番号: 昭和34(オ)138 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
係属中の事件についての再審申立は不適法であり、不適法な再審申立が適法なものに転換することはない。