係属中の事件についての再審申立は不適法であり、不適法な再審申立が適法なものに転換することはない。
係属中の事件についての再審申立
民訴法420条
判旨
現に係属中の事件に対してなされた再審の申立ては不適法であり、不適法な再審の申立てが適法なものへと転換することもない。
問題の所在(論点)
1. 判決が確定せず現に係属中の事件に対してなされた再審の申立ての適否。2. 不適法な再審申立てが、後の事情により適法なものに転換するか。3. 過去の審判に関与した裁判官が、後の審級において除斥の対象となるか(民事訴訟法23条1項6号)。
規範
再審の訴え(民事訴訟法338条以下)は、確定した終局判決に重大な瑕疵がある場合に、判決の確定による法的安定性を犠牲にしても判決の効力を覆して再審理を行う非常の救済手段である。したがって、判決が確定していない、すなわち現に係属中の事件に対して再審を申し立てることは制度の本質に反し、不適法である。また、手続の明確性の観点から、不適法な申立てが事後的に適法なものに転換されることも認められない。
重要事実
上告人は、現に裁判所に係属しており、いまだ判決が確定していない事件について、再審の申立てを行った。また、原審に関与した裁判官が過去の審判に関与していたことを理由として、除斥の事由があるとも主張していた。原審は、当該再審の申立てを不適法として却下し、不適法な申立てが適法なものに転換することもないと判断したため、上告人が最高裁に上告した。
事件番号: 昭和32(ヤ)25 / 裁判年月日: 昭和34年4月23日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】上告裁判所は不服申立ての限度でのみ調査義務を負うため、上告理由として主張されていない事項や、適法な期間経過後に提出された補充書記載の事項について判断を示さなくとも、判決に影響を及ぼすべき重要な事項の判断遺脱(民事訴訟法第338条1項9号)には当たらない。 第1 事案の概要:再審原告は、前審の上告判…
あてはめ
1. 本件再審の申立ては、現に係属中の事件を対象とするものであり、再審の対象となる「確定した終局判決」が存在しない以上、不適法といわざるを得ない。2. 手続の安定性および明確性の観点から、当初から不適法な申立てが、後の訴訟状態の変化等によって遡及的に適法な申立てへと転換されることは、法理上認められない。3. 裁判官の除斥について、所論の裁判官が指摘の各審判に関与していたとしても、それが直ちに「前審の裁判」に関与したものとして除斥事由に該当するとは認められない。
結論
現に係属中の事件に対する再審の申立ては不適法であり、却下を免れない。また、当該申立てが適法なものに転換することもない。
実務上の射程
再審の対象が「確定判決」に限定されるという基本原則を確認した判例である。答案上は、再審の訴えの適法要件(対象の確定性)を論じる際の論拠として使用する。また、訴訟行為の追完や転換が認められない場面の例証としても機能する。
事件番号: 昭和39(オ)1374 / 裁判年月日: 昭和42年6月20日 / 結論: 棄却
民訴法第四二〇条第二項後段により再審請求するには、有罪の確定判決を得る可能性があるのに、被疑者が死亡したり、公訴権が時効消滅したり、あるいは起訴猶予処分をうけたりして有罪の確定判決をえられなかつたことを証明することを要する。
事件番号: 昭和37(オ)1058 / 裁判年月日: 昭和38年5月23日 / 結論: 棄却
甲の乙に対する所有権移転登記が抹消されて甲が登記名義を回復したとき甲は丙に対し売買を原因とする所有権移転登記をせよとの丙の請求は、将来の給付請求として許される。
事件番号: 昭和33(オ)258 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審が行った証拠の取捨選択および事実認定が適法である限り、上告審においてこれと異なる事実を主張して原判決を非難することは、上告理由にならない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審が認定した売買の事実について、証拠の取捨選択や事実認定に誤りがあるとして、原判決の違法を主張し、上告を申し立てた。なお、…
事件番号: 昭和46(オ)1105 / 裁判年月日: 昭和47年4月28日 / 結論: 棄却
被上告人を被告とする訴訟において、被上告人の妻がその訴状、期日呼出状を毀棄し、判決正本を隠匿したため、被上告人がその訴訟の係属およびその進行についてなんら知るところなく欠席のまま判決を受け、同判決が確定したなど、判示の事情のもとにおいては、民訴法四二〇条一項五号の再審事由があるものというべきである。