判旨
再審の訴えの管轄について、上告審判決が事実認定を非難する論旨を上告理由に当たらないとして上告を棄却したに過ぎない場合、再審の訴えは、不服の申し立てがある判決をした裁判所である控訴審裁判所の専属管轄に属する。
問題の所在(論点)
上告棄却判決が確定している場合において、控訴審判決における事実認定の基礎となった証拠の虚偽を理由とする再審の訴えは、どの裁判所の管轄に属するか(民事訴訟法340条の解釈)。
規範
再審の訴えは、不服の申し立てがある判決をした裁判所の専属管轄に属する(民事訴訟法340条1項、旧422条1項)。上告審が事実関係に踏み込まず、手続的理由で上告を棄却したに過ぎない場合には、実質的に不服の対象となっている事案の判断を下した前審裁判所が管轄権を有する。
重要事実
再審請求人は、控訴審判決において証拠となった証人及び被控訴人の陳述が虚偽であると主張し、旧民事訴訟法420条7号に基づき再審の訴えを提起した。これに対し、最高裁判所(上告審)がなした判決は、事実認定を非難する論旨が上告理由に当たらないとして上告を棄却したものであった。
あてはめ
本件再審の理由は、控訴審における事実認定の基礎となった証言等の虚偽にある。最高裁判所による上告判決は、事実認定に関する不服を上告理由不適合として棄却したにとどまり、事実関係についての実質的な判断を行っていない。したがって、本件で不服の申し立てがある判決をなした裁判所は、最高裁判所ではなく福岡高等裁判所であるといえる。
結論
本件再審の訴えは、不服の申し立てがある判決をなした福岡高等裁判所の管轄に属する。
実務上の射程
事件番号: 昭和26(マ)1 / 裁判年月日: 昭和26年9月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の「その他の手続」に判決の言渡し等も含まれるため、東京高等裁判所が管轄権を有する。 第1 事案の概要:当事者間の所有権移転登記手続請求事件について、大審院が昭和21年1月15日に確定判決を言い渡した。その後、大審院が廃止され、裁判所法…
再審の専属管轄を検討する際、形式的な確定判決の有無だけでなく、再審事由がどの審級の判断に結びついているかを確定させる必要がある。上告審が事実判断に介入していない場合の管轄決定における実務上の指針となる。
事件番号: 昭和32(ヤ)25 / 裁判年月日: 昭和34年4月23日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】上告裁判所は不服申立ての限度でのみ調査義務を負うため、上告理由として主張されていない事項や、適法な期間経過後に提出された補充書記載の事項について判断を示さなくとも、判決に影響を及ぼすべき重要な事項の判断遺脱(民事訴訟法第338条1項9号)には当たらない。 第1 事案の概要:再審原告は、前審の上告判…
事件番号: 昭和27(オ)1239 / 裁判年月日: 昭和29年3月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件の審判の特例に関する法律の適用に関し、上告理由が事実誤認や単なる訴訟法違反にすぎない場合は、上告棄却の対象となる。 第1 事案の概要:上告人が提起した本件上告について、その論旨の内容が検討された結果、事実誤認および単なる訴訟法違反の主張に留まるものであった。 第2 問題の所在(論点):…
事件番号: 昭和34(オ)138 / 裁判年月日: 昭和37年2月23日 / 結論: 棄却
係属中の事件についての再審申立は不適法であり、不適法な再審申立が適法なものに転換することはない。
事件番号: 昭和28(オ)1001 / 裁判年月日: 昭和29年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、民事上告事件の審判の特例に関する法律の規定する上告理由のいずれにも該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まないため、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:上告人らが原判決を不服として最高裁判所へ上告を申し立てた事案であるが、提出された上告理由の内容についての具体的な事実は判決文…